ヌケモレのない切り口から外部環境を記載することにより、小規模事業者持続化補助金に採択される可能性が高まります。
1.小規模事業者持続化補助金「美容室」採択のポイント
小規模事業者持続化補助金を活用して、店舗のバリアフリー化と洋服や小物類販売に関する費用を調達するために、ある美容室の経営者が作成した計画書を採択レベルにブラッシュアップしていったプロセスをご紹介していきます。
今回は、下図の赤枠部分、様式2-1<経営計画>内の「2.顧客ニーズと市場の動向」を見ていきます。
(1)書かれてきた内容を整理する
事前に書かれてきた内容の中で重複する部分を削除するなど整理をした結果、概ね以下の内容となりました。
・この10年で当店から半径500m以内に30軒以上の新築住宅が建ち、新興住宅地として若い世代から年配の方まで幅広い世代が住んでいる。
・当店の前面道路から1本隣の道路に入ると古民家や養護学校・老人介護施設があり、体の不自由な方から来店しやすい環境整備に対する要望が多く寄せられている。同様に若い世代からはベビーカーを引いたまま入店したいという声が上がっている。
・半径1km以内の競合店の様子
A店 カット料金4,320円 バリアフリー未実施 顧客層30~50代
B店 カット料金4,320円 バリアフリー実施済 顧客層20~30代
C店 カット料金4,860円 バリアフリー未実施 顧客層60~80代
D店 カット料金3,780円 バリアフリー未実施 顧客層40~50代
これらの内容をブラッシュアップしていきます。
(2)顧客の年代層別にニーズを記載する
同店は、補助金を使ってバリアフリーの店舗に改装するとともに、バリアフリーが必要な顧客へ洋服や小物類販売のために什器や試着室の設置をしたいため、バリアフリーに対する顧客ニーズをメインに記載していますが、偏った印象があることは否めません。
そこで、モレなくダブりのない切り口を用いる必要があります。同店では「1.企業概要」で顧客層が20代~80代と記載していますので、例えば20~30代、40代~60代、70代以上の顧客という切り口でニーズを記載しても良いでしょう。
20~30代、70代以上の層からバリアフリーのニーズが出ていると思いますが、40~60代の顧客ニーズや、バリアフリー以外のニーズなど満遍なく記載すると説得力が高まります。
また、同店が販売したい装飾品に関するニーズが見当たりませんが、ニーズのない商品を販売しても成果は出にくいため、そのようなニーズも盛り込みたいところです。
(3)マクロ環境とミクロ環境から市場動向を記載する
市場の動向に関しては、マクロ環境とミクロ環境に切り分けて記述することも一考です。マクロ環境とは、自店がコントロールできない外部環境を指し、例として政治、経済、社会・ライフスタイル、技術などが挙げられます。
また、ミクロ環境とは、自店に直接関わってくる外部環境であり、顧客動向や競合動向が挙げられますが、同店では競合動向を取り上げています。よって、ヌケているのはマクロ環境の動向ですが、社会・ライフスタイル面から地域の人口動向などは取り上げやすいマクロ環境と言えるでしょう。
(4)競合の特徴を記載する
前述の通り、同店は競合動向として、価格、バリアフリーへの取組、顧客層を記載しています。ここでバリアフリーの取組を記載している理由は、同店が補助事業でバリアフリーに取組むことで差別的優位性を構築したいからでしょう。
繰り返しになりますが、同店が補助事業で取組む内容はバリアフリーだけではなく、洋服や小物類販売もあります。よって、競合動向には装飾品の販売に関する内容も盛り込むことでさらに説得力が向上します。
また、価格や顧客層で差別化を図らないのであれば、そのような記述は不要と考えられます。よって、競合に関する記述は、店名、バリアフリーへの取組、洋服や小物類販売への取組、特徴、といった項目を設け、各競合店の特徴として「主要ターゲット層は若年層である」「低価格戦略をとっている」とひと言述べる程度で良いのではないでしょうか。
このようにして、様式2-1<経営計画>内の「2.顧客ニーズと市場の動向」をブラッシュアップしました。次回のコラムでは、「3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み」を見ていきます。
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