ある地方都市の中華料理店が、メニュー表を作成し、店外からでもメニューが見えるようにして、テイクアウト販売を促進できるように看板を設置しました。この費用を賄ったのが小規模事業者持続化補助金です。
補助金の財源は、行政が集めた税金ですが、それを再配分することで、収益性が向上し、納税額が増加することが見込める事業者が採択されます。そこで、計画書を提出していただき、審査することになります。
同店が作成した計画書を採択されるレベルまでどのようにブラッシュアップしたかをご紹介するシリーズの2回目は、様式2<経営計画書>の「3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み」を見ていきます。
「強み」とは
「強み」とは、競合他社よりも優れていて、顧客に価値を提供することができる経営資源を指します。経営資源ですから「人」「物」「金」「情報」の観点から検討することが可能です。
同店は、「手軽な価格で本格中華を味わうことができる」という点を強みとして記載していましたが、まずは「それはなぜ?」と深掘りします。
「それはなぜ?」
「手軽な価格で本格中華を味わうことができる」のはなぜか?
・経営者が安価な仕入先を開拓する能力に長けているから→人的資源の強み
・人件費が削減できる調理設備を保有しているから→物的資源の強み
・豊富な内部留保を活かして店内レイアウトを変更した結果、オペレーションが良くなったから→財務的資源の強み
・スタッフ各自がホールから厨房まで幅広く業務をこなせるように育成できるノウハウがあるから→情報的資源の強み
同店はこのほかにも「競合店に負けないコストパフォーマンス」「掘りごたつ風の席が多い」などの内容を強みとして記載していましたが、これらもなぜそうなのか、と深掘りして、「人」「物」「金」「情報」の差別的優位性を検証します。
「だから何?」
強みは、競合他社よりも優れている経営資源ですが、顧客に価値を届けることができなければ意味がありません。つまり、ここまで見てきたように、一見強みと思われる事象を「なぜそうなのか」と深掘りすることとも必要ですが、「だから何なのか」という観点から顧客に価値を届けることができているか、深掘りすることも必要です。
例えば、「メニューが豊富である」といった内容を強みとして記載していた同店ですが、なぜメニューを豊富にできるのか、という観点の他に、メニューが豊富だと顧客にどのような価値を提供できるのか、という観点も必要だということです。
メニューが豊富だと、「幅広い中華料理を堪能できる」「食事のバリエーションが広がる」「選ぶ楽しみを感じることができる」などが考えられますが、現場で顧客と接するスタッフの肌感覚も活用したいところです。
強みのグルーピング
このようにして、強みを列挙したらグルーピングをすることでまとまりが良くなります。お勧めしているのは【自店の強み】と【自店が提供する商品・サービスの強み】に切り分けることです。
【自店の強み】は、前述で用いた「人」「物」「金」「情報」にグルーピングしますが、「物」のうち、料理の強みは【自店が提供する商品・サービスの強み】としてまとめると良いでしょう。
このようにして「強み」を洗い出しますが、これを補助金を使って多くの方に訴求するというストーリーが理想的だと感じます。今回のコラムでは、強みの見出し方やその検証法方法について見てきました。次回は「4.経営方針・目標と今後のプラン」を見ていきます。
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