その和食店は、比較的高級路線で営業しており、接待などで利用する顧客も多い状況でした。このような顧客は、個室を利用するケースが多いのですが、同店の個室は天井から数十センチは吹き抜けとなっています。
そのため、会話が筒抜けの状態になっており、顧客から密室にして欲しいというご要望をいただいておりました。そこで同店は、完全個室に改装する資金を小規模事業者持続化補助金で賄うために応募用の計画書を作成しました。
弊社は当該補助金における採択可能性を高めるべく、その計画書のブラッシュアップをご支援しました。結果として無事採択されましたが、どのように計画書をブラッシュアップしたのか、複数回にわたってご紹介します。第2回目の今回は、様式2－1＜経営計画＞の「2．顧客ニーズと市場の動向」前半部分について見て行きます。
なお、この事例は新型コロナウイルスの影響が出始める前にご支援したものですが、現在では個室の密室性を高めるのであれば、空気清浄機を入れるなど、感染対策をとる必要があります。
1．小規模事業者持続化補助金＜一般型＞応募の全体像
まずは、全体像を把握します。事業者が単独で小規模事業者持続化補助金に応募する際は、原則として以下の書類を作成し、締め切り日までに送付する必要があります。
- 様式１－１ 小規模事業者持続化補助金事業＜一般型＞に係る申請書
- 様式２－１ 経営計画書兼補助事業計画書①
- 様式３－１ 補助事業計画書②
- 様式４ 事業支援計画書
- 様式５ 補助金交付申請書
このうち、様式２－１と様式３－１が採択に大きな影響を及ぼします。
２．様式２－１ 経営計画書兼補助事業計画書①の全体像
今回は、様式２－１ 経営計画書兼補助事業計画書①を見て行きますが、その構成は以下となっています。
- ＜応募者の概要＞
- ＜経営計画＞
- ＜補助事業計画＞Ⅰ．補助事業の内容
３．＜経営計画＞の内容の全体像
今回は＜経営計画＞を見て行きますが、その構成は以下となっています。
- 企業概要
- 顧客ニーズと市場の動向
- 自社や自社の提供する商品・サービスの強み
- 経営方針・目標と今後のプラン
今回のコラムでは、２．顧客ニーズと市場の動向を見ていきますが、ここまでをまとめると、今回のコラムでは下図の赤枠で囲んだ部分を見て行くことになります。
４．「2．顧客ニーズと市場の動向」の【顧客ニーズ】の書き方
同店が当欄に予め記載されてきた内容を拝見したところ、かなり苦労して記載されたことが窺えました。というのも、【顧客ニーズ】【市場の動向】と見出しを設けて切り分けて書こうとしているものの、【顧客ニーズ】は2点のみ、【市場の動向】は空欄の状態であったからです。
まず【顧客ニーズ】ですが、「Quality （品質）」「Cost（費用、価格）」「Delivery（提供速度）」の頭文字を繋いだQCDの観点から洗い出すことをお勧めしています。以降でそれぞれを具体的に見て行きます。
顧客ニーズと市場の動向の書き方（1）Q：品質面
料理の品質、接客の品質、店舗の品質などに対してどのようなニーズがあるのかを検討します。例えば、料理であれば安心、安全だけでなく、接待の場で話が盛り上がって冷めてしまっても美味しくいただける品質などが挙げられるかもしれません。
顧客ニーズと市場の動向の書き方（2）C：費用、価格面
単に安ければ良いのではなく、どのような料理にはどの程度の予算を望むのかといったニーズを検討します。例えば、ランチであれば1,000円以内、接待であればお酒も含めて1人5,000円程度のニーズが多い、といったことが挙げられるかもしれません。
顧客ニーズと市場の動向の書き方（3）D：提供速度面
同店のような比較的高級路線で行く場合は、とにかく早く提供すれば良いというものではないでしょう。コース料理を手際よく順番に出して欲しい、インスタ映えするように全種類を一度に出して欲しいなどのニーズが挙げられるかもしれません。
このようにして、「2．顧客ニーズと市場の動向」のうち【顧客ニーズ】の部分をブラッシュアップしていきましたが、次回のコラムでは「2．顧客ニーズと市場の動向」のうち【市場の動向】を見て行きます。
5．小規模事業者持続化補助金の申請書類作成をサポートします
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