そのギフトショップは、地域に2店舗を展開しておりましたが、そのうち1店舗の老朽化が進んでいたことから、顧客にインパクトを与え、店頭を活性化するために、店舗外観の改装をしたいと考えるようになりました。
その費用を小規模事業者持続化補助金で調達しようとした同店に対して、弊社は当該補助金における採択可能性を高めるべく、その計画書のブラッシュアップをご支援しました。結果として無事採択されましたが、どのように計画書をブラッシュアップしたのか、複数回にわたってご紹介します。
第2回目の今回は、様式2-1<経営計画>の「2.顧客ニーズと市場の動向」について見て行きます。
1.小規模事業者持続化補助金<一般型>応募の全体像
まずは、全体像を把握します。事業者が単独で小規模事業者持続化補助金に応募する際は、原則として以下の書類を作成し、締め切り日までに送付する必要があります。
- 様式1-1 小規模事業者持続化補助金事業<一般型>に係る申請書
- 様式2-1 経営計画書兼補助事業計画書①
- 様式3-1 補助事業計画書②
- 様式4 事業支援計画書
- 様式5 補助金交付申請書
このうち、様式2-1と様式3-1が採択に大きな影響を及ぼします。
2.様式2-1 経営計画書兼補助事業計画書①の全体像
今回は、様式2-1 経営計画書兼補助事業計画書①を見て行きますが、その構成は以下となっています。
- <応募者の概要>
- <経営計画>
- <補助事業計画>Ⅰ.補助事業の内容
3.<経営計画>の全体像
今回は<経営計画>の内容を見て行きますが、その構成は以下となっています。
- 企業概要
- 顧客ニーズと市場の動向
- 自社や自社の提供する商品・サービスの強み
- 経営方針・目標と今後のプラン
今回のコラムでは、2.顧客ニーズと市場の動向のうち、「顧客ニーズ」を見ていきますが、ここまでをまとめると、今回のコラムでは下図の赤枠で囲んだ部分を見て行くことになります。
4.「2.顧客ニーズと市場の動向」の「顧客ニーズ」の書き方
(1)言葉を定義する
普段、仕事で「顧客ニーズ」という言葉を使うケースは多いかもしれませんが、その言葉の定義を明確にした上で述べると、説得力が向上します。それは、どういう意味で「顧客ニーズ」という言葉を使っているか、受け手が分かるからです。
弊社では、「顧客ニーズ」を「当店を利用することによって達成したい顧客の目的」と定義しており、同店もこの定義に則って、「顧客ニーズ」を記載していただくことにしました。
(2)書くべき欄に書くべきことを書く
事前に同店が「顧客ニーズ」として記載されてきた内容は、以下の内容になっていました。
①顧客の6割以上を占める50代以降の層は、ネット通販よりも実店舗を利用することが多く、贈答が必要な場合は、まずギフト店へ足を運ぶケースが非常に多い。
②若い世代では、SNS等を使って店舗の外観や店内の様子を確認してから利用を検討するケースが多く、その際に外観が古いと敬遠されることもある。
③ギフト店は普段使いをするような店舗ではないので、入りやすさは極めて大事な要素となる。そのため、外から店内がよく見えるようにしたり、外観を綺麗にして清潔感があるようにしたりするなど、入りやすくなる工夫をしている。
①②で顧客の状況、③で業界全体の一般的な取組を述べており、顧客ニーズは述べられておりません。よって、この①~③からどのような顧客ニーズがあるのかを述べることが必要です。その際には、前述の定義に則った内容を書く必要があることは言うまでもありません。
(3)補助事業に引きずられていないか検証する
上記の②③は店舗の外観に関する内容となっています。同店は補助金を使って店舗外観の改装をしたいと考えており、その意識が強く出過ぎて「顧客ニーズ」の欄に店舗の外観に偏った内容を記載してしまった印象があります。
店舗外観に関するニーズの他にも様々なニーズはあるはずですが、その際の視点として役立つのが、「Quality (品質)」「Cost(費用、価格)」「Delivery(提供速度)」の頭文字を繋いだQCDです。日々の仕事を通じて、QCDに対してどのようなニーズがあるのかを拾い上げ、記載する必要があります。
このようにして「2.顧客ニーズと市場の動向」の「顧客ニーズ」をブラッシュアップしていただきました。次回のコラムでは「市場の動向」を見て行きます。
5.小規模事業者持続化補助金の申請書類作成をサポートします
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