同店は、男性作業服を中心とした作業用品全般の卸・小売業です。昭和50年代に先代が創業し、現在は娘さんが2代目として切り盛りしていますが、より事業を拡大するべく、店舗改装をすることとしました。
同店では、その資金を小規模事業者持続化補助金で調達しようと考えたわけですが、採択をより確実なものとするべく、経営者ご自身が記載された計画書をどのようにブラッシュアップするべきか、弊社にご相談をされました。
結果として同店は、当該補助金に採択されるわけですが、そのブラッシュアップのプロセスを複数回にわたってご紹介をしていきます。
下図は、小規模事業者持続化補助金<一般型>に応募する際の一般的な提出書類ですが、今回のコラムでは、下図「<補助事業計画>Ⅰ.補助事業の内容」内、赤枠で囲まれた「4.補助事業の効果」と様式3-1「Ⅱ.経費明細表」の書き方を解説していきます。
なお、当コラムでは<補助事業計画>「Ⅰ.補助事業の内容」のうち、「1.補助事業で行う事業名」は公序良俗に反しない限り、30文字以内にまとめるだけで済むという認識であること、「3.業務効率化(生産性向上)の取組内容」は任意記入であることから解説を割愛しています。
1.「補助事業の効果」の書き方
(1)3方向の効果を検討する
同店は、補助事業の効果として、「自社の効果」「顧客の効果」を記載されていましたが、補助金という公的資金を活用するのであれば、自店を利用しない方向けへの効果、つまり「地域社会への効果」も検討する必要があります。
例えば、広域から同店へ顧客が訪れることにより、地域の他店における消費も増え、地域経済が活性化するなどが挙げられます。
(2)補助事業に連動させて書く
同店の補助事業は、店舗改装と宣伝広告と大きく2つの事業を行う予定ですが、可能であれば補助事業の効果も店舗改装の効果と宣伝広告の効果に切り分けて書くと読み手の理解が促進されます。ここまでをまとめると下表を埋めていくことになります。
2.「経費明細表」の書き方
「Ⅱ.経費明細表」は以下となっていますが、同店には赤枠で囲んだ部分の修正をしていただきました。
(1)必要理由を書く
補助金で何を買うかは記載されていますが、その必要理由が記載されておりませんでした。「内容・必要理由」とありますので、これに沿って忠実に記載する必要があります。
(2)回数に相当する数値を書く
単価は記載されていましたが、回数が記載されておりませんでした。工事を1回行うのであれば「1」と記載、パンフレットを100枚作成するのであれば「100」と記載する必要があります。
(3)税抜・税込を囲む
ここが囲まれておりませんでしたが、消費税の課税事業者は「税抜」を、免税事業者は「税込」を囲みます。基本的な考え方として、税金を財源とする補助金で消費税という税金を補助しないわけなので、原則として「税抜」を囲むことになります。
ですが、免税事業者は消費税を扱うという概念がありませんから、支払金額である「税込」を囲むことになります。
このようにして、計画書をブラッシュアップし、採択となりました。書いた内容をひとつひとつきめ細かく点検し直すことにより、採択に近づくはずですので、手間をいとわず、当コラムをご参考にブラッシュアップをしていただければと思います。
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