新型コロナ禍で不要不急の外出自粛が求められる中、飲食店の取組みはイートインからテイクアウトへシフトせざるを得なくなりました。
そこで、小規模事業者持続化補助金に採択され、業績を拡大させた持ち帰り弁当店が、どのようにして当該補助金に採択される計画書(様式2)を作成したのかを見ていくシリーズ、6回目の今回は下図の赤囲み部分「4.経営方針・目標と今後のプラン」を見ていきます。
整理整頓をする
同店が当欄に予め記入してきた内容は非常に長い文章でした。これを箇条書きにすると概ね以下となります。
・「質よし、量よし、愛想よし」をモットーに、美味しさでお客様を笑顔にする。
・5年後には、月間売上高290万円(現状の35%アップ)を目標とする。
・弁当のノウハウを生かした総菜専門店を出店したい。
・補助事業でインターネットによる受注システムを構築し、他地域へアピールを強化する。
・当店の近隣には、ホームページを使ってアピールをする競合店が無い。
・イベント、スポーツ大会等に参加する団体客にターゲットを絞り、売上の増加を見込む。
・5年後の年間売上目標は500万の増加。総菜店をオープンし、雇用も増やす。
当欄は【経営方針】【目標】【今後のプラン】の記述が求められていますので、上記のうち不要な記述を削除(整理)し、必要な記述を置くべきところに置く(整頓)と以下となります。
整理整頓の結果とその検証
【経営方針】
・「質よし、量よし、愛想よし」
・美味しさでお客様を笑顔にする。
・イベント、スポーツ大会等に参加する団体客をターゲットとする。
【5年後の目標】
・月間売上高290万円(現状の35%アップ)、年間売上高500万の増加。
・弁当のノウハウを生かした総菜店をオープンし、雇用も増やす。
【今後のプラン】
・インターネットによる受注システムを構築し、他地域へのアピールを強化する。
これらを次のようにして、ブラッシュアップすることとしました。
【経営方針】のブラッシュアップ
経営方針は、経営の方向性を示すものですが、その前提に経営理念があると、とってつけた経営方針ではなく、力強い経営方針になっていきます。
経営理念は「なぜ当店は存在しているのか」という質問への回答、つまり当店の存在意義を示します。「何のために生きているのか」と問われた時に、内容はどうあれ即答できる方に力強さを感じるわけで、経営理念があると経営に力強さが生まれます。
もし、経営理念があるならこの機会に見直しても良いですし、なければこの機会に策定し、経営方針とともに当欄へ示すと良いでしょう。もちろん、経営理念と経営方針は整合性が取れていることが必要です。
【目標】のブラッシュアップ
同店の月間売上高目標は「290万円(現状の35%アップ)」とあります。これは、現状の月間売上高は約215万円で75万円アップ、年間で900万円アップの計算です。しかし「年間売上高500万の増加」とあり、辻褄が合いません。
また、「雇用も増やす」とありますが、どの程度増やすのかが不明です。このような点を意識して再度目標設定をし直していただきました。
【今後のプラン】のブラッシュアップ
まず、補助事業の内容は、次に続く<補助事業計画>に記載することになりますので、それも含めた全体的な計画を当欄に記入することとなります。ここでは、以下のように「人」「物」「金」「情報」からなる経営資源をどのように充実して目標を達成するのかを検討します。
・人的資源の充実→募集、面接、採用、教育
・物的資源の充実→新店舗の物件、既存店の設備
・財務的資源の充実→新規開業やその他の事業活動に伴う資金調達
・情報的資源の充実→受注増を目的とした情報発信
これらを検討し、「何を」「いつ」行うかを明確にしてプランを作り上げていただきました。今回のコラムでは様式2「4.経営方針・目標と今後のプラン」をブラッシュアップした事例を見てきました。次回は<補助事業>のブラッシュアップを見ていきます。
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