持続化補助金に採択された鍼灸治療院の計画書作成事例⑥

小規模事業者持続化補助金

 その鍼灸治療院は、女性鍼灸師が代表で創業4年を迎えましたが、客単価を向上させるべく、健康保険を活用した診療の他に、自費での診療を増やしたいと考えており、自院の訴求力を高める必要性を感じていました。

 そのために、動画制作、ホームページ立上げ、チラシの制作と新聞折込を行いたいと考え、その費用を小規模事業者持続化補助金で調達することとし、応募のための計画書を作成することにしました。

 そのご支援を弊社が行い、結果として採択されたわけですが、どのようにしてこの鍼灸治療院が、採択レベルの計画書を作成していったのかをご紹介していきます。

 今回のコラムでは、下図の提出書類一覧表の赤枠部分、「様式2-1経営計画書兼補助事業計画書①」<補助事業計画>Ⅰ.補助事業の内容「4.補助事業の効果」を見ていきます。

 なお、当コラムでは<補助事業計画>のうち、「1.補助事業で行う事業名」は公序良俗に反しない限り、30文字以内にまとめるだけで済むという認識であること、「3.業務効率化(生産性向上)の取組内容」は任意記入であることから解説を割愛しています。

1.「補助事業の効果」記入の仕方

(1)3つの立場から効果を検討する

 補助金を使ったことで見込むことのできる効果を書く当欄ですが、自社が享受する効果のみを見込んでいては、審査で高得点を得ることは困難と考えられます。

 自社の業績が向上するためには、自社が補助金を使うことによって、顧客が享受できる効果も検討する必要があります。ある事業者はこれを受け「顧客のメリットを書くということですね」とおっしゃいましたが、まさしくその通りです。

 さらに、補助金は税金が原資ですから、自社を利用しない方の税金を自社が補助金として使うことも考えられますので、そのような方が享受できる効果も検討する必要があります。

 つまり、【自社の効果】【顧客の効果】【地域社会の効果】の3方向で「補助事業の効果」を検討する必要があるということであり、同院にはそのように記載していただきました。

(2)定量/定性的効果を記載する

 【自社の効果】に関しては、売上増加など数値で表すことのできる定量的効果の他に、知名度の向上など数値で表すことのできない定性的効果があります。【顧客の効果】【地域社会の効果】に関してもその両面から記載できると良いのですが、定量的効果に関しては、記載が困難ですので、【自社の効果】に関してのみ定量/定性的効果に切り分けて記載していただきました。

(3)具体例

上記を踏まえ、同院が記載した「補助事業の効果」は概ね以下の内容となりました。

【自社の効果】

  • ○年◎月~●月までに△万円の売上増が見込める(平均単価▽円×▲か月で▼回利用×各週平均□人ずつ増加×◇週間)。
  • ■年に◆万円の売上増が見込める(平均単価○円×年間で◎回利用×各週●人ずつ増加×△週間)。
  • 当院スタッフの稼働率が向上することから、費用対効果が高まる。
  • 地域における当院の知名度が向上する。

【顧客の効果】

  • 訪問マッサージ(鍼灸)を知らない地域住民が当サービスを知ることができる、当院が提供する質の高いサービスを受けることができる。

【地域社会の効果】

  • 自費治療を受けることにより、保険治療の必要性がなくなる患者が発生する可能性が高く、医療費の抑制が期待できる。
  • 仕事に復帰できる方が増加する可能性が高まり、労働力の確保や、収入増加により地域での消費を通じて経済効果が改善することに繋がる。

 このようにして、「4.補助事業の効果」を記載しました。同院は、代表者の考えが非常に独創的であり、計画書に様々なことを盛り込みたくなってしまう傾向がありました。書くべきことを絞って、端的に記載したことがわかりやすさに繋がり、採択に至った事例なのではないでしょうか。

 なお、当シリーズのバックナンバーは以下となります。

 持続化補助金に採択された鍼灸治療院の計画書作成事例①

 持続化補助金に採択された鍼灸治療院の計画書作成事例②

 持続化補助金に採択された鍼灸治療院の計画書作成事例③

 持続化補助金に採択された鍼灸治療院の計画書作成事例④

 持続化補助金に採択された鍼灸治療院の計画書作成事例⑤

2.小規模事業者持続化補助金の申請書類作成をサポートします

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