洋菓子通販業へ転換を図った事業者の持続化補助金採択事例①

小規模事業者持続化補助金

 その事業者は代表1名で、企業のシステム構築を主たる事業としていました。ですが、代表はご自身の年齢に伴う体力面や技術進展状況への対応などを鑑み、主たる事業を転換する必要性を感じておりました。そんな中、たまたま出会った洋菓子の魅力にとりつかれ、事業の方向性を洋菓子のネット通販へ徐々に転換していくこととしました。

 そのためには、厨房設備などの製造に関わる投資や、ホームページの構築など販売に関わる投資が必要と判断し、小規模事業者持続化補助金でその資金を調達することとしました。その際に提出する計画書作成のご支援を弊社が行い、結果として採択されたわけですが、どのようにしてこの事業者が、採択レベルの計画書を作成していったのかをご紹介していきます。

 今回のコラムでは、下図の提出書類一覧表の赤枠部分、「様式2-1経営計画書兼補助事業計画書①」<経営計画>「1.企業概要」を見ていきます。

1.「企業概要」記入の仕方

(1)事業転換の背景を記載する

 多くの場合、既存事業をいかに拡大するかという観点から小規模事業者持続化補助金に応募しますので、「1.企業概要」には経営者の経歴や沿革を記載するだけで足りると判断しているのですが、同社は前述の通り、事業内容を転換し、転換後の新規事業に当該補助金を使用したいと考えていました。

 そこで、経営者の経歴や同社の沿革はもちろんのこと、洋菓子店へ転換しようと考えた背景の他に、洋菓子店へ転換した上で、洋菓子が売れる仕組みを構築し、多くの洋菓子店へその仕組みを提供していきたいという趣旨を記載しました。

 これは、システムエンジニアとして、企業がうまく回る仕組みを構築してきたという経験を、洋菓子店へ転換後も活用していくということであり、決して過去の経験をリセットするのではないということです。

(2)過去の業績を記載する

 小規模事業者持続化補助金の事務局的な役割を果たしている日本商工会議所全国商工会連合会では、計画書の記入例を公表しています。下図は「1.企業概要」の記入例ですが、赤枠部分の「売上総額の大きい商品」「利益総額の大きい商品」の一覧表は、自社の提供する商品や事業規模を読み手に訴求するには非常に有用なので、本来は盛り込みたいところでした。

 同社の場合、これまで提供してきたのは商品ではなく、システム構築というサービスでした。サービス業の場合、売上イコール利益ですので、売上総額と利益総額を分けず「売上・利益総額の大きいサービス」として一覧表を作成したかったのですが、提供してきたのはシステム構築という1種類のサービスだけでしたので、この一覧表を作成することは困難でした。

 また、そのシステム構築サービスは、プロジェクト毎に期間が異なり、ある一定の期間で区切ってその売上・利益を並べることも困難でした。

 そこで、過去5年間において、どのようなプロジェクトをどれくらいの期間をかけて、同社がどのような役割を担ったのか、一覧表を記載することとしました。

(3)ビジュアルに訴求する

 ビジュアルに訴求することは、読み手にリアリティを与え、イメージを湧きやすくさせることを通じて、理解を促す効果があります。そこで、経営者の写真を経歴の説明とともに、また、同社の地図を立地の説明とともに盛り込みました。

 なお、地図は同社が立地する自治体が県内のどこにあるのかが分かる県の地図、また、同社が立地する場所が自治体内のどこにあるのかが分かる自治体の地図という形で2つの地図を盛り込みました。

 このようにして、「1.企業概要」を記載しましたが、次回は「2.顧客ニーズと市場の動向」を見ていきます。

2.小規模事業者持続化補助金の申請書類作成をサポートします

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