その飲食店がコロナ禍で売上アップを果たした5つの理由

戦略の考え方

 コロナ禍で多くの飲食店が厳しい状況に陥ってしまいました。2020年4月に引き続き、2021年1月に発出された2回目の非常事態宣言で、回復しつつあった客数がまたもや激減してしまい、行政から一定額の補償はあるものの、先行きに不安を感じる飲食店経営者も多いと思います。

 今回のコラムでは、2019年4月に開業したカフェが、弊社のご支援を利用して、客数の激減を乗り越え、売上をアップさせることができた理由を見ていきます。

1. その飲食店がコロナ禍で売上アップを果たした5つの理由

(1)選択と集中をしたため

 同店は、イートイン形態で店舗運営をしていたわけですが、客数減少を受け、テイクアウト販売もすることにしました。当初は店頭で弁当を販売していたのですが、その取組を強化させて、配達もするようにしました。

 そして、利益を最大化させることを目的に、多くの注文をさばくため、厨房を拡張して生産能力を拡充させるとともに、仕入原価低減のため、大量に仕入れた食材を保管できる冷蔵庫も導入しました。弁当の容器も大量に購入すると低価格になりますが、それを保管するスペースも必要です。そのために、店舗改装をしてイートインスペースの一部を潰すことにしました。

 中途半端にイートインもテイクアウトも行うのではなく、テイクアウト販売を選択し、集中したことにより、多くの注文をさばくことができるようになり、売上がアップするとともに、仕入原価が低減され、利益も拡大しました。

 とは言え、店舗改装には費用が必要であり、その費用を次の手法で調達することにしました。

(2)小規模事業者持続化補助金を活用したため

 同店は、厨房の拡張費用や冷蔵庫の購入費用などを小規模事業者持続化補助金で調達することとしました。当補助金は、販路開拓等の費用について原則として3分の2、上限50万円まで補助しますが、「コロナ特別対応型」は補助率4分の3、上限100万円となっており、後者を利用することにより、多くの資金を調達することができました。

 なお、小規模事業者持続化補助金について詳しくは以下をご参考にして下さい。

 令和元年度補正予算 小規模事業者持続化補助金について1

 小規模事業者持続化補助金<コロナ特別対応型>について①

 小規模事業者持続化補助金<コロナ特別対応型>について②

 また、同店がどのように小規模事業者持続化補助金の計画書を記載したかは以下をご参考にして下さい。

 持続化補助金「コロナ特別対応型」に採択された申請書の記入例①

 持続化補助金「コロナ特別対応型」に採択された申請書の記入例②

 とは言え、このような事業転換は、既存顧客の反発・失望を招くことが多いわけですが、同店はそれがほとんどありませんでした。その理由は次によるものです。

(3)固定客が少なかったため

 同店がコロナ禍に見舞われたのは、開店してからまだ1年足らずという時期でした。この時期は、固定客がまだそれほど多くない時期であり、イートインからテイクアウトへ事業を転換しても、固定客の反発・失望をさほど招かずに済む時期であったと言えます。

 とは言え、新たに顧客を集客し、固定化しなければなりません。そのために次の取組を行いました。

(4)顧客の囲い込みをしたため

 同店では、LINEで弁当の予約注文も受け付けています。また、日替わりメニューを提供していますが、LINEに登録して下さった顧客にのみ、当日の日替わりメニューを送信しています。このようにしてLINE登録の魅力を構築し、顧客の固定化を図りました。

 とは言え、LINE登録者の数を増加させていかないと、注文は増えにくくなります。そのために次の取組を行いました。

(5)ブログを毎日定刻に更新したため

 同店は、テイクアウト開始当初はハンドアウトチラシでテイクアウトメニューの内容や、LINE登録者を募集していることを訴求していましたが、ほどなくしてブログで情報発信をすることにしました。

 その内容は、メニューのレシピ、調理器具の使い方、調味料のうんちくなど同店が提供するランチをより深く理解できるもの、そして、LINE登録者募集中であることです。これにより登録者を増やしていきました。

 なお、当ブログは毎日午前9:30に更新することで、本日の昼食をどこで調達しようか迷っている方へ同店の利用をプッシュしていきました。

 今回のコラムでは、弊社のご支援を利用したカフェがコロナ禍で売上アップを果たした理由として(1)選択と集中をしたため、(2)小規模事業者持続化補助金を活用したため、(3)固定客が少なかったため、(4)顧客の囲い込みをしたため、(5)ブログを毎日定刻に更新したため、を挙げました。

 コロナ禍に巻き込まれなければ、このような取組は行う可能性は低く、今ほどの業績を出すことができたかは定かではありません。「コロナ禍だからこそ」という発想で、事業拡大に取組んでいただきたいと思います。

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