同社は、十数年前に英会話教室として創業しましたが、現在では、高校受験科目全般に対応する学習塾として事業を展開しています。ですが、同社の教室が利用されるのは、主に学校での授業が終わってからであり、日中の時間帯に同社の教室をいかに稼働させるべきかという点が経営課題のひとつになっていました。
そこで、外国人講師との人脈を活かし、地域住民に向けたカルチャー教室を日中に英会話で提供することにしました。例えば、ヨガ教室を英会話で提供する場合、受講者が英語に馴染みがなくても、講師の身振り手振りでヨガ自体は学べるわけで、受講者はそのようなテーマを学べるだけでなく、英会話に慣れることができるというメリットもあります。
同社はこの取組をチラシ、ポスター、ホームページで告知することにしましたが、その費用の一部を小規模事業者持続化補助金で調達することとしました。弊社は、同社における当補助金の計画書策定に関するご支援を行い、無事採択されたわけですが、採択される計画書を同社がどのように作成したのかをご紹介します。
今回のコラムでは、下図の提出書類一覧表の赤枠部分、「様式2-1経営計画書兼補助事業計画書①」<補助事業計画>Ⅰ.補助事業の内容「4.補助事業の効果」を見ていきます。
1.持続化補助金に採択された学習塾の申請書作成事例「補助事業の効果」の書き方
補助事業の効果は、自社・顧客・地域社会という3方向から検証することをお勧めしています。以下にそれぞれの効果について詳しく述べていくとともに、同社が記載した内容をご紹介します。
持続化補助金に採択された学習塾の申請書作成事例「補助事業の効果」の書き方(1) 【自社の効果】を記載する
補助金の財源は税金であり、補助金に採択された事業者に対して、行政が一度徴収した税金を補助金という名に変えて再配分するわけですが、これによって、収益性が向上し、さらに多くの法人税なり、所得税を納めていただける見込みがある事業者が採択される可能性が高いと言えます。
よって、【自社の効果】はどれくらい収益性が向上するかといった内容を中心に記載する必要があります。同社の場合は【自社の効果】として以下の内容を記載しました。
- 補助事業による売上高は1年後○○千円、2年後●●千円、3年後◎◎千円の増加、同じく利益は1年後△△千円、2年後▲▲千円、3年後▽▽千円を見込むことができる(様式2-1「4.経営方針・目標と今後のプラン『売上・利益計画』参照」)。
- 日中の空き教室を活用でき、経営資源を効果的に活用できる。
持続化補助金に採択された学習塾の申請書作成事例「補助事業の効果」の書き方(2) 【顧客の効果】を記載する
自社の収益性を高めるには、補助事業で顧客に提供する価値を上げる、もしくは顧客に新たな価値を提供する必要があります。【顧客の効果】では、その価値について概ね以下の内容を記載しました。
- 当塾の情報を新聞やネットで収集することができる。
- 当該情報を元に、カルチャー教室で▼▼、□□、◇◇などを楽しみながら英会話をマスターすることができる。
- これにより、英会話を仕事に活用でき、外国人観光客や自社の海外進出に対応が可能となる。
持続化補助金に採択された学習塾の申請書作成事例「補助事業の効果」の書き方(3) 【地域社会の効果】を記載する
前述の通り、補助金の財源は税金ですが、同社を利用しない方の税金が補助金として自社に投入される可能性もあるため、そのような方も含めた地域社会への効果を述べる必要があります。よって【地域社会への効果】としては、概ね以下の内容を記載しました。
- 弊社の事業を展開する地域からグローバルな人材が輩出され、地域の知名度が向上する可能性が高まる。
- 外国人に優しい街として、外国人観光客の入込数が増加する可能性が高まる。
- 当社の納税額が増加し、地域が潤うことが期待できる。
このようにして、<補助事業計画>Ⅰ.補助事業の内容「4.補助事業の効果」を記載しました。同社の場合、新規事業として取り組む「英会話を用いたカルチャースクール」自体は非常に面白いと感じましたが、経営者が数字に強くないことから、売上・利益計画の作り込みがポイントになったと思います。
これまで6回にわたって採択の可能性を高める申請書の書き方を述べてきましたが、そのポイントは以下となります。
なお、同社の事例を採り上げたこれまでのコラムは以下となります。
2.小規模事業者持続化補助金の申請書類作成をサポートします。
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