適切な切り口は、情報のモレ・ダブリを防ぎ、計画書の充実度を向上させます。今回は、家族経営のスポーツ用品店が初めて小規模事業者持続化補助金を申請し、採択されるプロセスをご紹介するシリーズの第2回目。
下図の赤丸部分、様式2「経営計画書兼補助事業計画書 ①」の中にある<経営計画>内の「3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み」(長ったらしいので図を見た方が早いですね)を見ていきます。
切り口はシンプルに
同店が予め記入してきた「3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み」の内容を拝見すると「(1)自社の強み」と「(2)商品のサービス」という2つの見出しを設けておられました。
繰り返しになりますが、この欄のタイトルは「自社や自社の提供する商品・サービスの強み」です。このタイトルをシンプルに分解すると【(1)自社の強み】【(2)自社の提供する商品の強み】【(3)自社の提供するサービスの強み】となり、同店はこの切り口が採用できます。
というのも【(1)自社の強み】はもとより【(2)自社の提供する商品】は販売しているスポーツ用品、【(3)自社の提供するサービス】は有料で行うスポーツ用品の補修が該当するからです。これをまとめると以下になります。
【自社の強み】の切り口
「(1)自社の強み」として予め記入された内容を拝見すると「①人」と「②人以外」の見出しがあり、「②人以外」はさらに「設備」「金融」「地域への協力」にグルーピングされていました。
経営資源は「人」「物」「金」「情報」、つまり「人的資源」「物的資源」「財務的資源」「情報的資源・ノウハウ」です。よって、「①人」と「②人以外」の切り口であれば、「②人以外」は「物的資源」「財務的資源」「情報的資源・ノウハウ」でグルーピングするべきです。この切り口で修正したものが以下になります。
予め記載された「①人」の強みは、そのまま【①人的資源の強み】となります。
同様に「②人以外」の強みのうち、「設備」の内容は【②物的資源の強み】に、「金融」の内容は【③財務的資源の強み】になります。
「地域への協力」を見ると、市内のソフトボールを主催したり、野球の大会に協力したりしていることを述べていました。なぜそのような取組みをしているのか伺うと、市内の少年少女たちが健やかに育ってほしいという想いを持っているとのことであり、これは【①人的資源の強み】に該当することとなります。
そして、そのような大会の運営ノウハウは【④情報的資源・ノウハウの強み】に該当することとなります。
切り口を意識しないと混乱する
次に、予め記載された「(2)商品のサービス」を見ると①人、②人以外、③商品とグルーピングされており、混乱している印象を受けました。そもそもこの見出しというかタイトルの適切性が微妙であり、何よりも見ている私が混乱しました。
そこで、前述のように「(2)商品のサービス」を【(2)自社の提供する商品の強み】【(3)自社の提供するサービスの強み】に置き換えて、それぞれの強みをまとめることとしました。ここまでをまとめたものが下図となります。
今回のコラムでは、「3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み」をどのような切り口で考えるかを取り上げました。なぜ切り口が必要かというと、モレなくダブりなく強みを洗い出すためです。
「当店の顧客」をモレなくダブりなく洗い出す際に、「男」「女」「社会人」という切り口で洗い出していては「男の社会人」「女の社会人」がいるわけでダブリが発生します。同じことを「運転免許を持っている方」「車で来店される方」という切り口で洗い出していては、運転免許を持っていて徒歩で来店される方がモレてしまいます。
よって、適切な切り口を用いるようにしなければいけませんが、その際に「人」「物」「金」「情報」は有効な切り口となります。
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