小規模事業者持続化補助金に採択!スポーツ用品店の事例(完結編)

小規模事業者持続化補助金

 初めて小規模事業者持続化補助金の申請に挑んだ家族経営のスポーツ用品店が、採択されるレベルの様式2と3をいかに作り上げていったかを紹介するシリーズ、今回が最終回となります。

 今回のコラムでは、下図の赤丸部分、様式2<補助事業計画>「4.補助事業の効果」、様式3「Ⅱ.経費明細表」「Ⅲ.資金調達方法」を見ていきます。

「三方良し」を意識する

 同店が記載してきた「4.補助事業の効果」を拝見すると【自店の効果】【顧客の効果】に切り分けて書かれていました。事業は「売り手良し」「買い手良し」「世間良し」の「三方良し」を意識していただくことが必要ですので、【社会の効果】を付け加えていただきました。

 【社会の効果】として挙げることができるのは、「野球を通じて健康的な体を持つ学生が増えることから、医療費が削減される」「グローブが長持ちするため、廃棄物が減り、環境の負荷が軽減する」などが挙げられます。

それは「効果」と言えるのか

 内容について見ていくと【自店の効果】は数値で表すことのできる「定量的効果」と数値で表すことの困難な「定性的効果」の両面からしっかり書かれていました。

 【顧客の効果】では果たしてそれが効果と言えるのか、と疑問を抱く記述がありました。例えば「お客様が良い商品に巡り合い、安心安全に大切に使ってくださるよう応援する」という記述は【顧客の効果】ではなく、同店の方針です。

 よって、「お客様が良い商品に巡り合える可能性が高まる」「お客様がグローブの安心安全な使い方を知ることができる」に変えると【顧客の効果】と言えるでしょう。

「経費明細表」の留意点

 次に、下図様式3「Ⅱ.経費明細表」を見ていきますが、ここで指摘するべき点は、下図の赤丸部分であり、多くの事業者が記入ミスをしています。同店もやはりミスがありました。

 まず、表の一番左側にある「経費区分」ですが、この欄に入るのは、「①機械装置等費、②広報費、③展示会等出展費、④旅費、⑤開発費、⑥資料購入費、⑦ 雑役務費、⑧借料、⑨専門家謝金、⑩専門家旅費、⑪設備処分費、⑫委託費、⑬外注費」のいずれかです。

 そして、日本商工会議所、全国商工会連合会が公表している記入例には、「経費区分名だけでなく、それぞれの経費区分名の前に経費区分番号(①~⑬)も記入してください」とありますが、この①~⑬の経費区分番号が記載されていませんでした。

 その隣には「内容・必要理由」の欄がありますが「内容」は書かれていても「必要理由」が書かれていません。さらにその右隣の「経費内訳(単価×回数)」では、「回数」が省略されていました。1なら1と記入した方が良いでしょう。

 なお、これに続く「Ⅲ.資金調達方法」について、同店の記載に問題はありませんでした。

最後に

 このようにして同店は、様式2と3を作り上げ、見事採択されました。それまで「自店は補助金などとは無縁」と思っていたようですが、この時にホームページとチラシを作成したことにより活気づき、ホームページ経由で全国からグローブの修理依頼が来るようになり、チラシを用いて既存顧客への営業が強化され、固定化が進みました。

 さらには、その後も小規模事業者持続化補助金を2回活用して、大きな業績をあげています。ご相談に来られた当初はネガティブな印象でしたが、この補助金の申請を通じて、同店には自信が芽生えるようになりました。業績に苦しむ店舗は、今回の事例を参考に、事業拡大のきっかけとして当補助金を活用していただければと思います。

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