そのエステサロンは、地方都市の郊外に立地するロードサイド店舗であり、個人で事業展開をする小規模事業者でした。初めて小規模事業者持続化補助金に応募するため、採択の可能性を高めるアドバイスが欲しいとのことで、経営者はご自身で作成した計画書(様式2と3)を携え、ご相談に訪れました。
同店は結果として採択されるわけですが、今回のコラムでは、このエステサロンの様式2と3を取り上げ、採択される計画書の作り方を見ていきます。なお、同店をご支援した時点と現在では、この様式2と3の体裁が若干異なっていますので、2020年4月7日現在の情報に基づいて解説していきます。
1.「応募者の概要」の書き方
持参された様式2を拝見すると、<応募者の概要>右上の欄外、「名称」欄が空欄になっていました。書くべき欄に書くべきことが書かれていないと、審査員としては「だらしない事業者」という第一印象を持ってしまいがちで、その後、読み進めていく際もその印象が付いて回り、同じことが記載されていてもネガティブに捉えられる可能性が高まります。
また、<応募者の概要>欄の上から2行目に「法人番号(13桁)※1」と記載された欄があります。同店は個人事業であり、法人ではありませんので、ここに記載するべき法人番号はありません。よって空欄になっていました。
ただし、<応募者の概要>欄外にある※1を見ると「個人事業主は『なし』と明記してください。」とありますので、空欄ではいけないことになります。このようなちょっとした見落としは審査員の目につくものなので、留意したいところです。
(ご参考)チェックの入れ方
同店は今回が初めての応募であり、加点項目もありませんでしたので、<応募者の概要>欄の下に続く項目は、その旨をチェックします。チェックを入れるには、様式の□を消して、「チェック」と入力し変換すると□にレ点の入った記号が表示されます。
2.「企業概要」の書き方
続いて<経営計画>の「1.企業概要」欄を拝見すると【沿革】と見出しを付け、900文字近くを費やし、開業からこれまでの経緯が書かれていました。原稿用紙2枚強に相当する文字数を延々と読まされる読み手の負担を考えると、ここは箇条書きや図表を効果的に活用したいところです。
そこで、立地に関する記述は、地図や写真を活用し、創業からこれまでのトピックは箇条書きに、メニュー構成は表にまとめました。そして、エステサロンにご縁が薄い審査員でも分かるように、各メニューの施術内容やその効果を記載しました。
また、この欄で外せないのは、日本商工会議所や全国商工会連合会から公表されている記入例内にある、売上総額の大きい商品・利益総額の大きい商品、それぞれのベスト5をまとめた下表です。
エステサロンは、主に施術が売上・利益をもたらしますので、売上総額・利益総額ともに「商品」ではなく「施術」のベスト5をまとめていただきました。
3.「顧客ニーズと市場の動向」の書き方
続いて「2.顧客ニーズと市場の動向」を見ていきます。いただいた内容を見ると、【補助事業で狙う顧客のニーズ】として【年代別のニーズ】【タイプ別のニーズ】、また【裏付けとなる統計データ】【特に力を入れてアピールしたいターゲット層】【競合他社の状況】と見出しがありましたが、雑然とした印象は否めません。
これは、見出しの階層が分からなくなっていることが原因です。そこで、見出しを(1)顧客ニーズ、(2)市場の動向とし、(2)の下に①市場規模、②競合動向を置くことにしました。
その上で(1)顧客ニーズを箇条書きで書き直し、(2)市場動向の①市場規模、②競合動向に関しては、見出しを変えただけで内容はそのまま使用しました。また、【特に力を入れてアピールしたいターゲット層】は「4.経営方針・目標と今後のプラン」へ移動しました。
今回のコラムでは、小規模事業者持続化補助金に採択されるポイントとして、見落としがちな項目、箇条書き・図表の活用、項目の付け方に関して述べました。次回のコラムでは、同店における様式2の後半部分と様式3を見ていきます。
4.当コラムの解説動画
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