小規模事業者持続化補助金<低感染リスク型ビジネス枠>は、昨年度に創設された<コロナ特別対応型>に代わるものとして今年度に創設され、募集が始まっています。この<低感染リスク型ビジネス枠>が<コロナ特別対応型>と大きく違うのは、その補助事業の実施により「対人接触機会の減少」が実現できること、その補助事業が「新たな取組」であることが求められている点です。
ただし、応募の際に作成する計画書のフォーマットに大きな変更はありません。そこで、当コラムでは「対人接触機会の減少」「新たな取組」に該当し、<コロナ特別対応型>に採択された小売業の事例を通じて<低感染リスク型ビジネス枠>の採択ポイントを検証していきます。
今回取り上げる小売業は、コロナ禍でネット通販事業を新規に立ち上げるために、小規模事業者持続化補助金<コロナ特別対応型>を活用して、①ホームページのリニューアル、②在庫状況をホームページに即時反映できるシステムの開発、③検索連動型広告の出稿を行いたいと考え、計画書を作成し、当該補助金に応募しました。
結果として、同社は採択されたわけですが、今回のコラムでは<補助事業計画> 「2.補助事業の内容」に該当する部分を同社がどのように記載していったかについて見ていきます。「1.補助事業名」については事例で理解する低感染リスク型ビジネス枠の採択ポイント③ を参考にして下さい。なお、当コラムの内容は2021年5月9日時点の情報に基づいています。
1.低感染リスク型ビジネス枠の採択ポイント:小売業の事例(補助事業の内容の書き方)
低感染リスク型ビジネス枠の採択ポイント:小売業の事例(補助事業の内容の書き方)(1)補助事業の内容を端的に示す
その内容を説明するなら、まずはその内容の全体像を示すことで、読み手は理解しやすくなります。補助事業の内容に関しても同様で、同社はまず「補助事業の内容は、①ホームページのリニューアル、②在庫状況をホームページに即時反映できるシステムの開発、③検索連動型広告の出稿である」と記載しました。
何社もの計画書を見ていると当欄の記載において、現状の説明や、補助金をなぜ使わなければならないのかという内容から書きはじめているケースが散見されます。これは「採択されたいからその必要性を述べなければならない」という心理を反映したものだと思いますが、採択されたいのなら、計画書の内容を理解していただくことに注力するべきです。
なぜなら、どんなに自社にとって補助金が必要かということを力説しても、それが理解されなければ採択されないからです。よって、補助金を使って何をしたいのかという全体像を端的に示し、その後に以下に示す公募要領に記載の「審査の観点」に則って説明するという流れが重要です。
低感染リスク型ビジネス枠の採択ポイント:小売業の事例(補助事業の内容の書き方)(2)5W1Hを記載する
前述の公募要領「審査の観点」には以下の記述があります。
「2.補助事業の内容」では、上図のマーカー部分を意識する必要があります。まずは、オ)のマーカー部分「補助事業計画の有効性」を訴求するため、いつ(When)・だれが(Who)・なにを(What)・なぜ(Why)・どこで(Where)・どのように(How)行うのかという5W1Hの切り口を活用して具体的に記載しました。
この5W1Hの説明の中で「審査の観点」に記載のウ)新たなビジネスやサービス・生産プロセスであること、エ)対人接触機会の減少に資する取組みであることを述べていきます。
同社は<コロナ特別対応型>に採択されていますので、このウ)エ)に関しては意識せずに記載しましたが、<低感染リスク型ビジネス枠>に応募するのであれば、以下のように赤字部分を付け加えて記載したはずです(吹き出しは審査の観点のどれに対応したのかをコラムの説明用として使っています)。
同社は上述のように、①ホームページのリニューアルについて説明を盛り込みましたが、同様に②在庫状況をホームページに即時反映できるシステムの開発、③検索連動型広告の出稿についても5W1Hで説明を記載しました。
このようにして「2.補助事業の内容」を記載しましたが、次回のコラムでは、これに続く「3.補助事業の効果」の書き方について見ていきます。
2.当コラムの解説動画
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