アルバイトスタッフの「ばっくれ」や無断欠勤を防止するには

経営の姿勢

ばっくれるスタッフの特徴

 あるガソリンスタンドの店長は、アルバイトスタッフによる「ばっくれ」に何度も遭遇していました。
 「ばっくれ」の語源は「しらばっくれる」から来ていると聞いたことがありますが、それが意味することは、勤務シフトに入っているにもかかわらず、それを守らずに無断欠勤し、そのまま出勤しなくなってしまう、というパターンです。

 当日に、突然スタッフを欠いた店舗側は大変です。シフトに入っていない他のアルバイトスタッフに連絡して急遽の出勤をお願いしたり、働いているスタッフに急遽の残業をお願いしたり、店長自らが急遽、長時間労働をしたりする、ということになります。

 このような事態を防止するために、その店長は、新規で入社してきたアルバイトスタッフへ、初日のオリエンテーションで、無断欠勤してはいけないこと、退職する際は最低2週間前に申し出ることを何度も口を酸っぱくして言っているのですが、ほとんど効果はないとのことでした。

 そこで、その店長に、ばっくれるアルバイトスタッフの年齢層や、入社してどれくらいの時期でばっくれるスタッフが多いのか伺ったところ、若い方や入社して間もない時期でばっくれるスタッフが圧倒的に多いということでした。

 「今の若い奴は」「新米のくせに」と嘆く前に、対策を考えなければいけません。若いスタッフは、世の中の仕組みがよく分かっていない年齢層のスタッフと言えるでしょう。また、入社して間もないスタッフとは、既存スタッフとの関係性が構築し切れていないスタッフと言えるでしょう。この特徴に応じた対策が必要です。

世の中の仕組みをちゃんと教える

 若いうちは、世の中の仕組みがよく分からず、自分の都合で行動を起こすことが多いのは致し方ないことだと思います。しかし、早いうちに世の中の仕組みを知ることにより、早く成熟した大人になることが可能となります。

 世の中の仕組みとして、真っ先に挙げられるのは、法律です。ばっくれることにより、法律上どのように扱われるのか、を入社初日のオリエンテーションでしっかりお伝えする必要があるでしょう。

 まず、ばっくれられたことにより、会社が損害を受けた時は、損害賠償をすることが可能であること。そして、貸与された制服などを返却しない場合は、業務上横領にあたること。この2点はしっかりお伝えしておく必要があります。

 そして、この際の留意点も2つあります。1つ目は、法律の話をする以上、自店もしっかり法律を守っていなければならないこと。つまり、労働基準法に則った働かせ方をする、ということです。2つめは、ばっくれられたことに対して損害賠償をすることはハードルが高いとされていること、です。

 例えば、ガソリンスタンドにおいて、アルバイトスタッフ1名がばっくれたことにより、灯油の配達ができず、その分の売上を得ることができなかったとします。しかし、アルバイト1名が欠勤しただけで、配達ができない状態となってしまう店舗側の運営体制が問われることとなるでしょう。

 よって、ばっくれられないようにするには、自店の労働環境を整えること、そして、ばっくれられても、少ない人数で店が回るように、スタッフのスキルを向上させておくことが必要です。

初期不良の発生を抑制する

 機械や装置の故障率を示したものに、バスタブ曲線というものがあります。縦軸に故障率、横軸に時間軸をとったグラフの形が、バスタブの形になることから、このように言われています。つまり、機械や装置は導入初期と相応の年数が経ったときに故障しやすいということです。

 導入初期に故障率が高いのは、使ってみて初めて製造上の欠陥が表出したり、環境との摺り合わせができていなかったりすることが原因です。機械や設備と人間を一緒くたに論じるわけにはいきませんが、アルバイトスタッフとして入社直後は、やはり慣れない環境で戸惑ったりすることは多々あるはずです。

 その際に、先輩スタッフが手厚く、暖かい保護をしてくれれば、業務を継続するモチベーションも高まるでしょうが、誰も声を掛けてくれなかったりすると、自分はこの職場に必要なのか、という猜疑心が湧いてきて、ばっくれやすくなるでしょう。よって、可能であれば、新人さんにはメンターを付けたいところです。

 そこまでの余裕がない店舗は、少なくとも、先輩スタッフに新人の面倒を見て欲しいことを店長から申し入れることは必要でしょう。店長から何の話もなく、ある日突然、新人が現場に送り込まれても、先輩スタッフは戸惑うばかりであることは、想像に難くありません。

 アルバイトスタッフの「ばっくれ」や無断欠勤を防止するには、自店の労働環境を充実させるとともに、突発的な欠勤に耐えうる店舗としての体力をつけておくこと、そして、店長と既存スタッフのコミュニケーションが重要と言えるでしょう。

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