「あーっ、中止中止っ!」ある企業研修に登壇していたA氏は、そのワークを途中で止めました。A氏は研修を通じて傾聴のスキルを身に着けていただこうとしていました。そこで、受講者をペアにして、片方が最近嬉しかったことを話し、相方がその話を、頭を空っぽにして傾聴するワークをしようとしました。
ところが「最近嬉しかったことなど無いですよ」と言ってきた受講者が複数名いたことから、A氏は「最近悔しかったこと」「最近腹が立ったこと」を話し、相方が傾聴するというワークをすることにしました。
そのワークを開始して数分…あまりにも場の雰囲気が悪くなりすぎて、A氏はこのワークを中止しました。言葉というものは、場の雰囲気に大きな影響を与えるというエピソードです。
店舗には、良きにつけ悪しきにつけ、雰囲気というものがあります。その雰囲気を決定づける大きな要因が、店舗内を行き交う「言葉」です。今回のコラムでは、店舗の雰囲気を悪くする言葉を取り上げ、どのような対策を取るべきかを見ていきます。
なぜ言葉が店舗の雰囲気に影響するのか
雰囲気を悪くする具体的な言葉を見る前に、以下の実験を取り上げてみます。
被験者である大学生をいくつかのチームに分け、各チームにいくつかの単語群を示し、その単語を使って短い文章を作ってもらいました。
ただし、ある1チームだけ、与える単語群に「忘れっぽい」「腰痛」「しわ」「白髪」「杖」といった高齢者をイメージさせる単語を混ぜました。
その後、各チームメンバーを徒歩で別の場所に移動させ、その際の歩くスピードを測定したところ、高齢者をイメージさせる単語を混ぜたチームの学生は、そうでないチームの学生よりも明らかに遅かったのです(ニューヨーク大学 ジョン・バルフの実験)。
このように、接する言葉は身体や心に大きな影響を及ぼします。そして、私たちが日頃接する言葉の中で、一番多いのは、自分が発した言葉です。自分は24時間常に一緒にいるからです。つまり、自分が発する言葉次第で、自分の体や心は良くも悪くもなる、ということです。
店舗内を行き交う言葉も同様であり、その言葉により雰囲気が良くも悪くもなるでしょう。では、具体的に店舗の雰囲気を悪くする言葉を見ていきます。
店舗の雰囲気を悪くする言葉1:「人がいない」
当然のことながら、人手不足に喘ぐ店舗でよく耳にする言葉です。しかし、人材確保に取組まなかったら、いくら「人がいない」と言っても、人材は充足するわけがありません。よって「人がいない」と言う前に、人材確保に取組む必要があります。以下のコラムを参考にしてください。
止血をしてから輸血をする!人手不足を克服する7つの対策
店舗の雰囲気を悪くする言葉2:「暇だ」
これも当然のことながら、客数が少ない店舗でよく耳にする言葉です。客数は、以前当店をご利用なさった顧客が再来店する数と、初めて当店をご利用なさる顧客が来店する数、つまり既存顧客数と新規顧客数で決まります。客数増加の取組みは、これらを切り分けたものが必要になります。
既存顧客数確保のための取組みは、以下のコラムを参考にして下さい。
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また、新規顧客数確保のための取組みは、以下のコラムを参考にして下さい。
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店舗の雰囲気を悪くする言葉3:「売れない」
「売れない」のであれば「売れる」ようにすれば問題は解決します。また「売れない」のは仕組みの問題ですが、「売らない」のであればスタッフの意欲の問題ですので、それらを切り分けて対応する必要があります。
売れる仕組みの構築に関しては以下のコラムを参考にして下さい。
ガソリンスタンドで油外商品が売れる3つのアプローチとは
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また、販売意欲の向上に関しては以下のコラムを参考にして下さい。
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店舗の雰囲気を悪くする言葉4:「スタッフが無能」
「うちのスタッフにもっと販売力があったら…」「うちの店長連中にもっとリーダーシップがあったら…」このような言葉を発する前に、スタッフの販売力、店長のリーダーシップを強化するのが、経営者・管理職の大切な仕事なのではないでしょうか。
販売力の強化については、以下のコラムを参考にしてください。
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また、リーダーシップの強化については、以下のコラムを参考にして下さい。
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扱いにくいベテランスタッフへ発揮するべきリーダーシップとは
傾聴力とリーダーシップ
今回のコラムでは、店舗の雰囲気を悪くする4つの言葉として「人がいない」「暇だ」「売れない」「スタッフが無能」を取り上げ、そのような言葉を発しなくても済むように、それぞれの打開策に関する参考コラムをご紹介しました。
乱暴な言葉を使う人はもっと乱暴になっていきます。ポジティブな言葉を使う店舗はもっとポジティブになっていくことを意識して、日々取り組んでいただけたらと思います。
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