持続化補助金で広報費調達に挑んだ美容室の申請書作成事例③

小規模事業者持続化補助金

 その美容室のコンセプトは「髪質改善」「髪質再生」であり、顧客の髪をより綺麗なものにするべくこれまで取り組んできました。そして、今以上に綺麗な髪の方を増やすべく、①ホームページの立上げ、②チラシの作成と新聞折込、③パンフレットの作成と配布、④会員カードの作成と配布を行い、広告を強化することとしました。

 これらにかかる費用の一部を小規模事業者持続化補助金で調達することとした同店は、応募時に提出する計画書を作成しましたが、弊社はその作成した計画書をブラッシュアップする形でご支援しました。そこで、採択の可能性を高めるためにどのような観点から計画書をブラッシュアップしたのかをご紹介します。

 今回のコラムでは、下図の提出書類一覧表の赤枠部分「様式2-1経営計画書兼補助事業計画書①」<経営計画>「3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み」を見ていきます。

1.「自社や自社の提供する商品・サービスの強み」記載の仕方

 同店が事前に当欄に記載されてこられた内容を拝見すると、4ページ半に及ぶボリュームの中に【提供する商品・サービスの強み】【強みを安定的に提供するための取組】【当店の課題】という見出しが設けられていました。

 さらに話の行きがかり上、あるメニューの昨年と今年の売上の比較グラフ、同店の施術によって艶の出た髪の写真、4年間にわたる月間平均売上高の比較一覧表、当店の顧客獲得ストーリーが盛り込まれており、話があちこちに飛散している印象を抱かせる状態でした。このような内容を以下のようにブラッシュアップしていきました。

(1) 言葉を定義する

 当欄は「自社や自社の提供する商品・サービスの強み」を書く欄です。そこで「強み」とは、そもそも何なのかを定義する必要があり、弊社ではこれを「顧客に価値を提供でき、競合より優れている経営資源」と定義しています。

 言葉の定義を示した上でその内容を記載していくことは、読み手と書き手の前提を一致させ、読み手の解釈によって伝えたいことが伝わりにくくなってしまうリスクを低減させる効果があります。

(2) 整理する

 「整理」とは不要なものを捨てることですが、前述の「強み」の定義が必要・不要の判断基準となります。これに基づいて「強み」の定義に当てはまらない記述は全て削除もしくは移動していただきました。

 特に、現状を説明した売上の比較については「1.企業概要」へ、戦略を示した顧客獲得ストーリーについては次回見ていく「4.経営方針・目標と今後のプラン」へ移動していただきました。

(3) 整頓する

 「整頓」とは整理の結果、残った必要なものの置き場所を決めることです。その置き場所の目印として「見出し」が活用されることとなります。繰り返しになりますが、当欄は「自社や自社の提供する商品・サービスの強み」ですから、見出しとしては【自社の強み】【自社の提供する商品・サービスの強み】とするのが自然です。

 そして、前述の通り「強み」は経営資源と定義しましたが、経営資源は「人」「物」「金」「情報」から構成されます。「物」には【自社の提供する商品・サービス】が含まれますから、見出しとしては以下が望ましいと考えました。

 【自社の強み】

  • 人的資源の強み
  • 物的資源の強み(自社の提供する商品・サービス除く)
  • 財務的資源の強み
  • 情報的資源の強み

 【自社の提供する商品・サービスの強み】

 このように「置き場所」を決めて、整理した強みを配置するとともに、その置き場所(見出し)に応じた強みがさらにないかどうか、再検討をしていただきました。

 このようにして、同店が書かれてきた「3.自社や自社提供する商品・サービスの強み」をブラッシュアップしていきました。次回のコラムでは「4.経営方針・目標と今後のプラン」を見ていきます。

2.小規模事業者持続化補助金の申請書類作成をサポートします

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