ガソリンスタンドキャッシュレス決済告知メリット

　「何で来てくれなかったんですか？待ってたのに」私のスマホに地方のスナックで働くチエちゃんからメッセージが届きました。私は、出張が続くと、交通費や宿泊費の立替が嵩むので、現金ではなく、なるべくクレジットカードを使用しています。

　そんな中、地方出張時にひょんなことがきっかけで入店したチエちゃんのスナックは、クレジットカードが使えるという告知がありませんでしたので、前回は現金で会計をしました。

　そこで、今回の出張では、チエちゃんのスナックではなく、クレジットカードが使える別の店舗で飲食を済ませたのですが、どうやらチエちゃんには次回の出張時も来店する、と日程まで伝えて約束していたようです。そこで冒頭のメッセージが来たわけですが、来店しなかった事情を返信したところ、実はクレジットカードは使えるとのことでした。

　このスナックはキャッシュレス決済の告知不足により、ガソリンスタンドに21年間身を置き、現在は経営コンサルタントとして働いていて、2019年11月は出張が非常に多く、立替払いが嵩んでいる埼玉県川越市在住の男性客が来店する機会を失ったわけですが、今回のコラムでは、ガソリンスタンドにおいて、キャッシュレス決済を強力に告知するとどのようなメリットがあるのかを見て行きます。

ガソリンスタンドのキャッシュレス決済告知のメリット1：高額品が売れる

　私の経験上、多くの顧客はガソリンスタンドにおいて、クレジットカードでキャッシュレス決済ができることを知っています。ですが、その対象商品はガソリンだけだと思っている顧客が多いです。

　そこで、スマホにせよクレカにせよ、キャッシュレス決済ができることはもちろんですが、その対象は、洗車やタイヤなどガソリン以外の商品、いわゆる油外商品も含まれることを告知すると、高額品が売れる可能性が高まります。

　特にタイヤは、4本とも新品に交換すると万円単位の会計となるケースが多いですし、車検も税金や保険を含めると万円単位の会計となります。それはキャッシュレスで決済できたほうが顧客の負担も軽くなり、結果として売れやすくなります。

ガソリンスタンドのキャッシュレス決済告知のメリット2：購買確率が上がる

　ガソリンスタンドで働くスタッフが顧客に油外商品のお勧めをすると、断られることも多々あるわけですが、断り文句として多いのが「持ち合わせがない」というものです。

　一般社団法人日本クレジット協会によると平成 31 年 3 月末のクレジットカード発行枚数は、2 億 8,394 万枚で、20歳以上の国民は、1 人当たり 2.7 枚保有している計算になります。

　それでも、顧客がクレジットカードを持っていない場合はともかく、キャッシュレス決済ができるガソリンスタンドでは、それを訴求することにより「持ち合わせがない」という断り文句を防止できます。これは、油外商品の購買確率が向上することを意味しています。

ガソリンスタンドのキャッシュレス決済告知のメリット3：販売効率が向上する

　このメリットは、フルサービスのガソリンスタンドに限定されますが、顧客がキャッシュレス決済をするということは、スタッフは現金を預かり、レジに走り、預かった金額から頂くべき金額を引いて釣銭を計算して、レジを開け、その金額を手に取り、顧客のもとへ走り、顧客に渡すという手間がなくなるということです。

　この精算業務、1台1台は大した時間がかかりませんが、これが積み重なると膨大な時間を使うことになります。朝7:00から夜10:00の1日15時間営業で、1時間当たり10台の来店があったとしたら、1日150台が来店する計算が成り立ちます。この150台全てが現金決済であり、現金のやり取りの時間が1台3分だったとします。これで7時間半が費やされる、ということです。

　キャッシュレス決済でこの7時間半が浮いたとしたら、それを油外販売に振り向けることが可能となり、スタッフの販売効率が向上することとなります。

　今回のコラムでは、ガソリンスタンドがキャッシュレス決済の告知を強化するメリットとして、1．高額品が売れる、2．購買確率が上がる、3．販売効率が向上する、を挙げました。

　重要なことは、キャッシュレス決済ができることを顧客に届くように告知することです。手数料をケチろうという考えが少しでもあると、顧客に届きにくくなり、結果として、チエちゃんが働くスナックのように機会損失が発生してしまいます。チエちゃん、お達者で。