責任者がクレームを受け必要以上に振り回されてしまう残念な理由

経営の姿勢

サイレントクレーマーが怖い店長

 あるガソリンスタンドの店長は、顧客からの意見やクレームを非常に重視していました。お客様から「値段が高い」と言われれば、すぐに価格見直しの検討をしますし、お客様から「営業時間が短い」と言われれば、すぐに営業時間延長の検討をします。

 不満があってもクレームとして店舗スタッフに直接申し立てない顧客をサイレントクレーマーと呼びますが、実に顧客の96%がそれに該当するのです。
 このサイレントクレーマーが怖いのは、店舗スタッフには言わない分、友人・知人の多くにその店舗に対する不満を話し、店舗に対する悪い口コミが拡がること、さらにはネットでその口コミが拡散し、客離れにつながる可能性があることです。

 よって、冒頭の店長は、表出した顧客の声を非常に重視していましたが、ある日、店舗スタッフが顧客からのクレームを報告しに来ました。その内容は「店舗スタッフが少なすぎて待ち時間が長い」というものでした。そこで店長は、新たに人材を募集するべく新聞へ折込み広告を入れることとし、何名かの新規スタッフを雇用しました。

 しかし、店舗スタッフが店長に報告したクレームは虚偽のものでした。実は、別のスタッフが「人手が足りないので仕事の負荷が高く、人材を増やして欲しい」と店長に相談したことがあったのですが、人件費の負担がきついという理由で、その相談に取り合ってくれませんでした。
 これを踏まえ、複数のスタッフで相談した結果、顧客から人手不足を指摘されたことにすれば店長は動いてくれるだろう、と仕組み、店長はまんまとハマってしまいました。

意思決定の判断基準を設ける

 この店長には判断基準がありません。その結果、「顧客の声」や「顧客の声と信じた情報」に盲目的に振り回されることになります。

 そこで、「価格が高い」「営業時間が短い」「人手が不足している」といったクレーム情報が入っても、「本当に高いのか、何をもって高いと言えるのか」「本当に短いのか、何をもって短いと言えるのか」「本当に人不足なのか、何をもって人不足と言えるのか」といった考え方をすることにより、クレーム情報に振り回されることがなくなってきます。

 例えば、価格に関しては、競合店の価格調査を行い、競合の価格から何%上回っていれば、高いと判断する、といった基準を設けます。営業時間に関しても同様です。
 人手不足については、売上高に対する人件費の割合が何%以下であれば、不足と判断する、といった基準を設けます。
 これらの基準に従って判断することにより、自店の考え方が確立され、振り回されなくなります。もっともこの判断基準自体が正しいものなのかどうかは、定期的に見直す必要もあります。

 顧客がクレームを発したという事実も大事ですが、それ以上に大事なのはそのクレーム内容を正しく解釈して今後に活かす、ということです。何となくの解釈で顧客に振り回されるのではなく、判断基準に基づいた適応行動をとっていきたいものです。

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