会議を意味のあるものにするために

戦略の考え方

ある企業における吊し上げ会議

 本社を都内に置き、関東圏内を中心に複数のロードサイド店舗を展開する企業の事例です。その企業は、毎月月初に店長会議を開催していました。
 その店長会議に費やす時間のほとんどは、各店長による当月の販売施策発表と質疑応答です。店長が発表し、それに対して質疑応答の時間があり、次の店長が発表、そして質疑応答、これを繰り返します。

 前月までの業績が良い店舗の店長が発表すると、質問はほとんど出ません。しかし、前月までの業績が悪い店舗の店長が発表すると、本社スタッフから「その施策で今月は販売予算達成できるのか」という質問が飛び、そこから様々なツッコミが入るという、いわゆる「吊し上げ」というものでした。

 しかし、この取り組みの効果は決して芳しくなく、業績は下降し続け、店長の退職が相次ぎました。

 日本生産性本部の調査によると、「叱ることが部下の育成に繋がる」と答えた課長級が89%であるのに対して、部下である一般社員の56%が「叱られるとやる気を失う」と答えています。

 業績の悪い店舗の店長は、わざと業績を落としたわけではなく、業績を上げる打ち手が見つかっていないのです。ですから、本社がそのような店舗の業績を上げるために行うべきことは、「その現場を一番知っているのは店長だから」と店長に打ち手の探索を丸投げしたり、責め立てたりすることではなく、店長と一緒になって打ち手を探すことなのです。

有効な会議とは

 会議を意味のあるものにするには、業績の良い店舗を考察する場として活用することも一考です。そのような店舗の店長になぜ業績が良いのかを本社スタッフが質問したり、他社事例を紹介したりして、業績向上の打ち手を紹介し、店長を育てていく、ということです。

 一部例外はありますが、人の親というものは、子育てのスキルを獲得してから子どもを産み育てるわけではありません。出口の見えない暗闇を進むがごとく、どうすれば子どもが元気に育ってくれるかを考えつつ、必死で育てます。
 経営陣に求められるのは、店長育成のスキルよりも、店長育成の意欲だと思います。そこには、きっと思いやりや気遣い、配慮などの愛情があるはずなのです。

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