水抜剤とは
昔、ガソリンスタンドには「水抜剤」という商品がありました。
車両の燃料タンクは密閉されていますから、タンク内の温度と外気温に差があり、内部の温度が高ければ、結露が発生します。
結露により燃料タンク内に溜まった水は、油であるガソリンなどの燃料と混ざることなく、エンジンに送られます。エンジンは金属でできているため、錆の原因となり、燃料経路の詰まりを引き起こす可能性を高めます。
「水抜剤」は、主成分がアルコールで、水と油を中和させます。それがエンジンに送られ、油と中和された水がエンジン内で燃焼され、タンク内の水をなくすことができる、というものです。
新たな知識が販売につながる
この話を、入社数か月が経過し、給油や窓ふき作業に慣れてきた(飽きてきた)アルバイトさんなどに教えてあげると、ガソリンスタンドならではの専門性を得ることができた、という顔で興味深く話を聞いてくれます。知識が増える喜びを味わうわけです。
そして、「水抜剤」を1本販売すると給料に〇円加算、といったスタッフ向けキャンペーンを実施すると、そこそこの本数を販売してくれます。
エンジンオイルやタイヤの交換のような、技術を要しないため、技術的な教育も必要なく、ガソリンスタンドは売上を増加させることが可能となります。
「解釈」がモチベーションに影響を及ぼす
1回目の「水抜剤」キャンペーンで成功を収めると、2度3度とキャンペーンを行うようになりますが、キャンペーンを重ねるたびに水抜き剤が売れなくなるケースがあります。その理由は、スタッフがキャンペーンを「アメとムチ」と解釈するようになるからです。「人参をぶら下げて、自分を上手く使おうとしている」と解釈するのです。
人は、その報酬がコントロールのツールと解釈した場合は、モチベーションが低下します。反面、その報酬が自信に結び付くと解釈した場合は、モチベーションが上がります。そこで、承認がモチベーションに有効となる理由とされています。
承認は「〇個売れたね」「何分早いね」と「事実」を述べます。それを上司が行うと、自信に繋がり、効果が高くなります。単にたくさん売れたからお金を払う、という単純なことではモチベーションは上がりにくいと考えます。
なお、現在の車両は、技術革新が進み、燃料タンク内には結露は発生しないとされています。ご参考まで。
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