コロナ禍中でも応援したくなる居酒屋の経営者3つの特徴

経営の姿勢

 「気にかけてくれて本当に嬉しかったです」その居酒屋でひとしきりお酒と料理、そして会話を楽しみ、退店しようとした私にその店舗の経営者である女将さんが声を掛けてくれました。

 新型コロナの影響を受けた事業者からの相談が殺到している、ある自治体の役所で私は、4月末から週1ペースで窓口相談に臨んでいます。

 そのような行政経由で多数の経営者から相談を受けていると、応援したくなる方と出会うことがあります。顧客なり取引先なり、自店の利害関係者から応援されることは、業績に好影響を及ぼします。

 かくいう弊社も、利害関係者から今まで以上に応援をいただけるように、今回のコラムでは、応援したくなる経営者の特徴について居酒屋を事例に述べてみます。

コロナ禍中でも応援したくなる居酒屋の経営者3つの特徴1:自店の魅力を知っている

 冒頭の女将さんが、市役所の窓口相談に訪れた時の同店は、新型コロナの影響で営業を自粛していました。その女将さんは、行政が営業自粛を求めても、営業している店舗はあるわけで、それを見ていると早期に通常通り営業を開始したい。ただし、クラスターになってしまうのは怖い。そんな悩みを抱えていました。

 そこで女将さんに「貴店の特徴はなんですか?」と問いました。

 「お刺身が美味しいんですよ」と女将さん。この台詞が間髪入れずに強い口調で出てくる様子から、かなり自信があるのだろう、と感じました。つまり、この女将さんは自店の魅力を知っているわけですが、そのことは、自店を利害関係者が応援するとしたら、どこが応援するべき価値なのかを知っている、ということです。

 結果として、後日私は同店のお刺身目当てに飲食に伺うことになります。

コロナ禍中でも応援したくなる居酒屋の経営者3つの特徴2:本気で事業に臨んでいる

 この女将さんのように、応援したくなる経営者は相談の場に臨む姿勢が必死です。それは決して悲壮感のようなものではありません。良い意味でギラギラしています。ですから、私のアドバイスに疑問を抱くと質問を返してきますし、いい加減なアドバイスはさせないオーラをまとっています。私は、ある意味で真剣勝負を挑まれているような印象を抱きます。

 そんな女将さんに「貴店は何のために存在しているのですか?」と質問したところ「お客様同士を繋げ、楽しんでいただくためです」という答えが返ってきました。ご本人は意識しているかどうかわかりませんが、これは同店の経営理念です。

 実際に、私が後日同店に伺うと、お隣の見ず知らずの顧客と仲良くなってしまい、下のにごり酒をおごってもらうということになりました。

コロナ禍中でも応援したくなる居酒屋の経営者3つの特徴3:思考がポジティブである

 相談の場でアドバイスをするとそれに対して「できない理由」をつらつらと述べる経営者がいます。そのような対応をさせてしまうアドバイスしかできない私に問題がないとは言いませんが、「できない理由」を探すよりも「やれる方法」を探した方が事業拡大の可能性は高まるはずです。

 この女将さんが抱えていた悩みは、「早期に通常通り営業を開始したいが、クラスターになってしまうのは怖い」というものでした。

 そこで早期に営業は再開させるが、①営業時間は短縮、営業日数は減少させて再開すること、②様子を見ながら営業時間の延長、営業日数の増加を検討すること、③様子見の期間は食材ロスのリスクを低減するためにメニューを絞ること、をアドバイスしました。

 「それでは再開を待ち望んでいた固定客の満足度が下がる」という反応も予想されましたが、女将さんは「『そのような形で営業を開始するからよろしくお願いします』と固定客にあらかじめ電話でお伝えしておけば、営業再開の告知にもなるし、問題ないですよね」というポジティブな言葉を発していただきました。

 このような形で営業再開にこぎ着けた同店に先日お邪魔し、お刺身をはじめとした料理のほかにお酒、そして女将さんや常連さんとの会話を楽しんだ私は、ふと同店を応援していることに気付きました。

 そんな私が会計を済ませ、退店しようとしたときに女将さんが投げかけてくれたのが、冒頭の台詞です。

 今回のコラムでは、コロナ禍中でも応援したくなる居酒屋の経営者3つの特徴として、1.自店の魅力を知っている、2.本気で事業に臨んでいる、3.思考がポジティブである、を挙げました。このような点を意識して、是非、利害関係者からの応援を取り付けていただけたらと思います。弊社も強く意識するようにします。

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