総務省家計調査年報によると、理容店向けの支出は、美容室向けの支出に比べると減少傾向であり、理容店の顧客が美容室へ流出していることがうかがえます。
参考コラム:客数の減少を克服して儲かる理容店になるために目を向けたいこと
ところが、都内某所にあるその理容店は、曜日に関係なく、老若男女の顧客がひっきりなしに訪れています。同店を何度か訪問してみて分かったことは、顧客ニーズに応えているということですが、今回のコラムでは、理容店としてどのようなニーズに応えているのか、またその応え方のポイントをご紹介します。
1. 顧客ニーズを満たす理容店のポイント
(1)理容店ならではの女性向けメニューがある
美容室にできなくて理容店にできることのひとつにシェービング(顔剃り)があります。同店は、このシェービング単体のメニューだけでなく、それプラス美顔器によるマッサージや小顔になるエステなど、多数のフェイシャルエステメニューを準備しています。
これにより、シェービングをするならこの機会により美しくなりたいという女性のニーズを取り込むとともに、フェイシャルエステに興味のある男性のニーズも取り込むことに成功しており、夫婦で来店するケースも多々あるとのことです。
ただし、このようなメニューを設置するだけではなく、さらに事業成果を高めるために次の取組も行っています。
(2)ネットを活用する
街の理容店が片手間でフェイシャルエステを行っているのではないことを訴求するために、同店はエステサロンを検索・予約できる大手サイトに登録しています。これにより、エステの専業店と肩を並べる施術内容であることが訴求でき、高いレビューも得ています。
このレビューがさらに新規顧客を呼び込むという好循環になっていますが、総務省平成28年版情報通信白書によると、以下のように各年代において多くの方々が、インターネット上のレビューを参考にすると回答されています。
ネット上のレビューは、店側からお願いされて記入するものもあるため、その内容全部を鵜呑みにすることはできません。ただ、店舗側として知っておきたいのは、鵜呑みにしているかどうかはともかく、多くの方がレビューを参考にしているという上記の事実です。
さて、エステサロンを検索・予約できる大手サイトを活用して、フェイシャルエステに注力すると、当然エステ専業店も競合となってきますが、同店は次の手法により、エステ専業店との差別化を図っています。
(3)施術後に髪型を整える
フェイシャルエステの施術中は、前髪が額にかからないようにターバンで前髪を上げます。ですが、施術終了後にターバンをとると髪にターバンの癖が残り、前髪が上がりっぱなしとなり、おかしな形になってしまいます。特に髪の毛が女性と比べて短い男性はこの癖がなかなか直らないものです。
そこで同店では、ターバンでついてしまった髪の癖をとり、ヘアスタイルを整えるサービスを無料で行っており、顧客から好評を得ています。
今回のコラムでは、顧客ニーズを満たす理容店3つのポイントとして、(1) 理容店ならではの女性向けメニューがある、(2) ネットを活用する、(3) 施術後に髪型を整える、を挙げました。理容店を取り巻く状況が厳しい中、このような新サービス導入を検討する価値はあるのではないでしょうか。
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