ガソリンスタンドで働くアルバイトの仕事がきつい本当の理由

経営の姿勢

ガソリンスタンドの仕事

 ガソリンスタンドは3K職場と呼ばれます。いわゆる「きつい」「汚い」「危険」な職場です。このうち、なぜ「きつい」のか、という点に着目すると、私の経験上、以下のことが言えると思います。

 ・夏は酷暑の中、冬は厳寒の中、外で働く職場であるため。
 ・走り回って仕事をするため。
 ・夏場に整備作業をすると、気温の高さにエンジンの熱が加わるため。
 ・冬場は手肌の荒れ、ひび割れに悩まされるため。
 ・慢性的な人不足のため、長時間労働を強いられるため。
 ・1人で複数台の接客を掛け持ちするなど高密度労働が強いられるため。
 ・突然のシフト変更により、予定が崩れる場合があるため。
 ・洗車が続くと靴の中がびしょびしょになるため。
 ・給油ミス、整備ミスをすると顧客から責められるため。

 「だから、うちのスタンドは人が定着しないんだよな」、「だから、うちのスタンドは人が集まらないんだよな」というガソリンスタンド関係者の声が聞こえて来そうです。

年末商戦を控えた現場への気配り

 複数のガソリンスタンドを展開する、ある企業の経営者は、年末を控えた時期になると、各店舗へカップラーメン1ケースを持参します。

 年末が近づくにつれ、給油の他に油外商品の販売が忙しくなり、弁当を買いに行っている時間や、そもそも食事をする時間がとりにくくなるので、ちょっとした空き時間にお腹を満たして欲しいという気配りに基づくものです。
 そして、宅急便で送るのではなく、現場に足を運び、直接カップラーメンを届け、店長に激励のメッセージも届けます。

 この年末商戦のきつさを乗り切って欲しいという経営者の気配りに対して、現場としては嫌な気持ちを抱くことはないでしょう。また、店長は具体的な気配りの仕方を学ぶ機会にもなります。

きつさに理解を示しているか

 この経営者の気配りのポイントは、カップラーメン1ケースを届けたことではありません。1ケースに入っている20個のカップラーメンは、現場のスタッフにとって、量的に充足しているわけではありません。カップラーメンという「モノ」ではなく、年末商戦のきつさに理解を示している「コト」がポイントと考えます。

 年末は寒い中、忙しいわけで、その結果、長時間・高密度労働になりがちです。手肌は荒れ、ひび割れを起こす人もいるでしょう。洗車ラッシュで靴の中がびしょびしょになるケースもあるでしょう。
 それらは、概ね避けられないことです。現場がそれらを避けられないのであれば、経営陣は、それらに理解を示すことが重要なのではないでしょうか。

 冬場であれば、手荒れ防止のクリームを届けたり、夏場であれば、スタミナを付けるために焼き肉店の食事券を届けたり、また、洗車ラッシュが予想される年末や花粉が飛び交う時期には、靴の防水スプレーを届けたりするのも一考です。
 繰り返しになりますが、現場は、その「モノ」に喜ぶのではなく、現場を気にかけてくれている「コト」が嬉しいのです。

 現在の経営者も、かつては、ガソリンスタンドの最前線できつい思いをしてきたはずです。それが分かっているからこそ、そして、経営者である今だからこそ、現場にしてあげられることはないでしょうか。

 そのようなことを考えずして、単に給料を払ってやっているんだから、一生懸命働くのは当然、といった姿勢では、現場の店長もアルバイトにそのように接する風土が出来上がります。そのような会社に勤務するアルバイトスタッフにとっては、やはりガソリンスタンドの仕事はきついでしょう。

 つまり、ガソリンスタンドで働くアルバイトの仕事がきつい本当の理由は、現場で働いていない経営層が、現場仕事のきつさを気にかけず、何の気配りもないからなのかもしれません。

人手不足克服に関する参考コラム

 ■ガソリンスタンド事業者が人材不足を回避するための退職防止策
 ■生き残るガソリンスタンドが用いる人手不足への対応
 ■人手不足に喘ぐガソリンスタンドの経営がさらに苦しくなる罠

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