情報のテイクアウト
地方出張を終え、都内へ向かう高速バスの中でこのコラムを書いていますが、昨夜は仕事後に現地の方からご紹介いただいた居酒屋さんで美味しいお食事とお酒を嗜みました。店主とことのほか話が弾み、楽しいひと時だったのですが、会計はこの金額でした。
本来4,884円なのですが、84円の端数を引いて4,800円だということなのですが、着目するべきは「△84」を紙に書いて渡した、という点です。単に84円を引くのであれば、4,884円と書いた紙を渡し、口頭で「端数は切りますので4,800円でお願いします」と言えばよい話です。
これを口頭で言うだけでなく、紙に書いて渡すということは、その紙を受け取らなかったり、捨てたりしない限り、値引きサービスが顧客の記憶だけでなく、記録に残るということです。
繁盛店はこのような情報のテイクアウトが上手です。ハンドアウトするチラシに関しても、メーカーや取引先が作成した、そのメーカー、その取引先の商品が掲載されたチラシを配るのではなく、店舗が今、訴求したいことを盛り込んだ店舗オリジナルのチラシを作成し、ハンドアウトします。
顧客を店舗スタッフにしたくない理由
人手不足のガソリンスタンドは、ガソリンメーカー(元売)から提供された募集看板やポスターなどのツールを使って募集をするケースが見受けられます。ですが、その元売のソリンスタンドは多数あるわけで、同じ元売のガソリンスタンドが同じツールで募集をしていたら、応募者に対するオリジナリティは薄れてしまいます。
応募者が知りたいことの1つに、その店舗のオリジナリティがあります。つまり、顧客に対しても応募者に対しても差別的優位性が必要である、ということです。
そのため、仕事内容や時給、応募方法だけでなく、自店は何のためにガソリンスタンドを経営しているのか(経営理念)、自店が目指す姿(経営ビジョン)、自店の特徴(差別的優位性)、店長やスタッフの顔写真などを訴求することが効果的だということです。
給油客にそのチラシのハンドアウトを提案すると、抵抗感を見せるガソリンスタンドの店長がいます。その理由は、顧客もしくは顧客からの紹介で勤務されると使いづらい、というものですが、ろくに指導もせず、上から目線で理由も説明せず、スタッフに「やれ」「売れ」と言いたいのであれば、当然です。
今のご時世、そのような人の使い方をしようとしている時点で、その職場には人材は集まらないでしょう。まず、人を「使う」という考え方から脱却する必要があります。従業員も自店にとってのお客様、という考え方をして、人に「働いていただく」という考えのもと、人材を育て活用していくことが重要です。
経営者は、そのようなスタンスで店長が従業員と接しているかを重要視する必要があります。それにより、広く給油客も店舗で働くスタッフ候補となり、人材は集まりやすくなります。
【人手不足に関する参考コラム】
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