ガソリンスタンドで顧客と会話をする際に立ち位置が重要な理由

経営の姿勢

ドトールとルノアールの違い

 仕事柄、喫茶店で作業をしたり、打合せをしたりする機会がありますが、その際によく利用するのがルノアールという喫茶店です。価格はやや高めなのですが、ゆったりした店舗レイアウトで、テーブル間の距離は適度に離れており、パソコンの充電もできますので、長居をする際には重宝します。

 これに対して、ルノアールよりも低価格路線で事業展開している喫茶店の代表格がドトールです。テーブル間の距離は比較的狭く、テーブル自体もさほど広くはありませんし、椅子も固めですので、あまり長居はできません。

 どちらが良い悪いということではなく、ルノアールは顧客の滞在時間が長く、高単価のビジネスモデルで事業展開をしており、ドトールは顧客の滞在時間が短く、低単価のビジネスモデルで事業展開をしており、どちらもそのビジネスモデルを支持する消費者が存在するから事業として成り立っている、ということです。

 では、ルノアールが戦略を見直して、価格は高いままで、テーブル間の距離を詰め、テーブル自体も狭くし、固めの椅子で、充電もできなくしたらどうなるでしょう。価格に対して得られるメリットが小さくなりますから、当然顧客離れが発生するでしょう。
 顧客の回転率を上げたいのであれば、価格はそれなりに抑え、整合性をとる必要があります。

 ガソリンスタンドで油外商品を販売する際も、当然、整合性のある取り組みが必要になってきますが、受注や会話の際にスタッフがどこに立ってそれらを行っているか、という点から検討してみたいと思います。

2種類の立ち位置

 フルサービスのガソリンスタンドでスタッフが受注する際など、窓を開けた乗用車の運転席に座る顧客と会話をする場合のスタッフの立ち位置は2種類あります。1つは顧客と同じ方向を向く立ち位置であり、もう1つは顧客と相対する立ち位置です。もっとも乗用車の運転席の真正面はボンネットの向こう側になりますので、相対する接客の立ち位置は、ドアミラーの位置、顧客の斜め45度前方といったあたりになるはずです。

同じ方向を向いた接客

 双方が物理的に同じ方向を向いてコミュニケーションをとることは、心理的にも同じ方向を向きやすく、一般的に関係性が深まりやすいと言われます。居酒屋のカウンターで一緒に飲む、といったイメージです。

 ガソリンスタンドで、窓を開けた乗用車の運転席に座る顧客と同じ方向を向いて会話をすることは、この効果を狙ったものだと思いますが、運転席に座っている顧客は、居酒屋のカウンターと比較すると姿勢の自由度が低いので、首をスタッフの方向へ45度程度ひねる必要があります。
 これでは、長い会話を望むことはできず、会話に基づく信頼関係の醸成や詳しい説明に基づく油外販売に結びつく可能性は高くありません。

相対する位置での接客

 これに対して、双方が真正面から向き合ってコミュニケーションをとることは、対決の位置と呼ばれ、一般的に関係性が深まりにくいと言われます。居酒屋のテーブルを挟んで一緒に飲む、といったイメージです。

 前述の通り、ガソリンスタンドでは、運転席に座っている顧客と真正面の相対する位置での接客はあり得ませんので、相対の位置は45度前方の位置になります。この位置は、顧客が首をひねる必要がなく、長い会話がしやすくなり、会話に基づく信頼関係の醸成や詳しい説明に基づく油外販売に結びつく可能性が高まります。

 油外販売をするには、信頼関係や詳しい説明は欠かせません。それをせずして、売ろうとするから顧客から反発を買うのでしょう。
 信頼関係の醸成や詳しい説明は、それなりの時間をかけた会話が必要ですから、顧客がそのような会話をしやすくする必要があります。よって、それを実現しやすい立ち位置で会話を行う必要があります。
 ガソリンスタンドの経営者・店長は、スタッフの意欲や知識を充足させるだけでなく、スタッフが顧客と会話する際の立ち位置にも目を向け、油外販売に向けたその取り組みに整合性があるかどうか、検討する必要があると言えるでしょう。

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