1.儲かるガソリンスタンドが給油口にステッカーを貼らない理由
あるガソリンスタンドで過去に水抜剤を販売していた頃の話です。水抜剤は主成分がアルコールで、200ml程度の液体ですが、給油時にガソリンタンクに注入すると、タンク内で結露して溜まった水をガソリンと中和させてエンジン内で燃焼させる役割を果たすとされています。
ある日、同店のスタッフが「前回、水抜剤を入れてから3か月が経っており、そろそろ効果が切れてきますので、再度入れませんか」と給油中の顧客に声を掛けたところ、顧客は怪訝な顔で「なぜ3か月前に入れたと分かるのですか?」と問いかけました。
そのスタッフは、前回に水抜剤を購入していただいた時に、給油口の裏蓋に〔〇年〇月水抜剤注入済み〕と記載したステッカーを無断で貼ったことを明かしました。
ガソリンスタンドでは、古くからこのステッカーによる顧客管理を実施してきました。水抜剤の他にも、ハイオクガソリン、燃料油の添加剤、オイル交換など様々な商品管理のためにステッカーが活用されてきましたが、今回のコラムでは、儲かるガソリンスタンドが給油口にステッカーを貼らない理由を見ていきます。
儲かるガソリンスタンドが給油口にステッカーを貼らない理由(1)リスクを回避するため
ガソリンスタンドにおいて無断で給油口の裏蓋に貼るステッカーは、以下のように顧客によってとらえ方が様々です。
- 全面肯定派:別に無断でステッカーを貼られても管理してくれるのだから良い
- 全面否定派:ステッカーの糊の跡が残る、勝手に他人の車に貼るのは許せない
- 一部肯定・一部否認派:ハイオクやオイル交換のステッカーぐらいなら良い
ここで考えたいのは、ステッカーを給油口の裏蓋に貼ることによって、全面否定派や一部否認派の反感を招き、販売に悪影響を及ぼすということです。よって、儲かるガソリンスタンドはそのようなリスクをとってまでステッカーを貼るようなことはしていません。
なお、カー用品店などでは、オイル交換であれば、交換日や交換時の走行距離、使用したオイルを記載したステッカーを「顧客に渡して」います。
儲かるガソリンスタンドが給油口にステッカーを貼らない理由(2)ステッカー以外で顧客管理ができるため
ステッカーを貼る目的は、顧客管理を通じた販売ですから、ステッカー以外で顧客を管理できる手法があれば、わざわざリスクを冒してステッカーを貼る必要はありません。
ガソリンスタンドならではの顧客管理の手法として、エクセルを使用した車両ナンバーによる管理が挙げられます。これは、車両ナンバーと購買履歴を紐づけて管理しようという取り組みで、まずエクセルの列(横軸)に「日付」「地域」「車格」「かな」「ナンバー」「購入商品」の欄を設けます。
「品川33あ1234」の車両が2019年1月5日にエンジンオイル交換を当店で実施した場合、エクセルの各セルに「2019年1月5日」「品川」「33」「あ」「1234」「エンジンオイル〇〇(使用したオイルの名称)交換〇ℓ、△△円」と入力します。
エクセルにはフィルター機能がありますので、次回以降は4桁の車両番号「1234」を検索すれば、購買履歴を確認できることとなります。なお、この管理手法は来店客の多くが車両を使うロードサイド店舗全般で活用できます。詳しくは以下の参考コラムをご覧ください。
給油口の裏蓋に貼ったステッカーによる顧客管理は、給油口の裏蓋はスタンドのスタッフは見るけれども顧客は見ない、という前提を活用したものです。しかし、セルフサービスのガソリンスタンドが増加した今、その前提は薄れつつあり、別の顧客管理手法が必要と言えるでしょう。
今回のコラムでは、儲かるガソリンスタンドが給油口にステッカーを貼らない理由として、(1)リスクを回避するため(2)ステッカー以外で顧客管理ができるため、を挙げました。顧客に不信感・不快感を抱かせない商売が販売に結び付きますので、参考にしていただければと思います。
2.当コラムの参考動画
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