油外商品は多岐にわたる
あるガソリンスタンド関係者から「油外商品で収益をあげるには、販売する商品を絞り込んだ方が良いのでしょうか」というご質問を受けました。
ガソリンスタンドで販売している油外商品(ガソリン以外の商品)は多岐にわたりますが、店舗の規模感によってとるべき戦略は変わってくると思います。
小規模なガソリンスタンドの場合
小規模なガソリンスタンドは、一般に固定客が多いわけですが、このような店舗の場合、顧客と店舗の関係性は、比較的深いケースが考えられます。この場合は、販売する油外商品の絞り込みは行わず、あらゆる油外商品を販売することが効果的と考えます。
顧客数が多くありませんから、顧客の購買履歴は覚えておくことは比較的容易であり、顧客の入店時に、前回は油外商品の○○を交換してくれたので、今回は□□を勧めよう、という方針のもと、接客をすることが可能です。つまり、顧客管理が容易という強みを活かし、顧客のカーライフ全般の面倒を当店が見る、というイメージで、あらゆる油外商品を販売していくことが効果的でしょう。
大規模なガソリンスタンドの場合
規模の大きめなガソリンスタンドは、一般に客数が多く、そして、一見客・浮動客も多いわけです。このような店舗の場合、顧客と店舗の関係性は、比較的浅いケースが考えられます。この場合は、販売する油外商品の絞り込みを行い、幅広い顧客へ専門性を打ち出していく必要があると考えます。
来店される多くの顧客全てのカーライフ全般の面倒を当店が見ることができれば、それに越したことはないのですが、限られた経営資源のもと、それは現実的ではありません。よって、油外商品の選択と集中を行い、特定分野で高収益を狙うことが得策と言えるでしょう。
油外商品の選択と集中で成功した事例
複数のガソリンスタンドを展開するある企業で人事異動が発令されました。小規模なA店で高い販売力を発揮していた若手社員を、社内有数の規模を誇るB店へ異動させるという人事です。
A店は、1時間に1台も来店がない場合もありますが、B店は、ひっきりなしに顧客が来店されます。この状況にA店からB店へ赴任したばかりの当該若手社員は目を輝かせました。どんなに卓越した販売力を持っていても、顧客がいてこそ、それは発揮できるわけで、客数の少ないA店ではその販売力を発揮する機会が限られていました。これに対し、B店には常に顧客が来店しており、いつでもその販売力を発揮できるのです。
しかし、程なくしてこの若手社員は壁にぶつかります。A店は客数が少なかったため、その購買履歴が全て彼の頭の中にインプットされており、それに基づいた販売が可能でした。
これに対して、B店は客数が多いため、その購買履歴が彼の頭の中にインプットしきれず、それに基づいた販売が困難だったのです。
これを受け、B店店長は、この若手社員が得意とするタイヤ販売だけに集中するように指示を出しました。つまりタイヤ以外は売らなくていいという指示です。これにより、接客時に何を勧めようかと迷うことなく、空気圧点検だけを申し出ることとなります。点検を通じて、タイヤの溝がすり減っているかどうかを見極め、タイヤ販売に繋げるのです。
B店は客数が多いですから、点検する対象が尽きることがありません。結果として、擦り減ったタイヤが多数見つかり、大量のタイヤ販売を実現することが可能となりました。そして、エンジンオイルや洗車など、タイヤ以外の油外商品で得るべき利益もタイヤで稼げるようになりました。
あれもこれも販売しようとすると、販売する側に迷いが生じます。選択と集中をすることにより、スタッフの販売姿勢に迷いがなくなることは、販売に好影響を及ぼすと言えるでしょう。
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