発想を転換するための3ステップ

現状分析

 「どうやったら、そのような発想の転換ができるんですか?」
 先日登壇したマーケティングのセミナーで受講者からいただいたご質問です。このセミナーでは、弊社が関わって逆境をチャンスに変えたロードサイド店舗の事例を、複数紹介しながらマーケティングの理解を深めていただきました。その事例紹介を受けて発せられた質問です。

 発想の転換がなされる要因のひとつに物事を多面的に見ることが挙げられます。物であれば、上面・側面・底面といった具体的な「面」がありますが、事業を多面的に見るとなると、どこをどのように見れば良いのか分からないこともあるはずです。

 このような場合に「漏れなくダブりなく」を意味するMECE(ミッシーもしくはミーシー、Mutually Exclusive Collectively Exhaustiveの略)という考え方を活用することが可能です。

 今回のコラムでは、ロードサイド店舗において、どのような視点で、事業のどのような「面」を見れば、多面的に漏れなくダブり無く見ることができ、発想の転換ができるのか、を検討していきます。

1.発想を転換するためのステップ

(1)良い傾向と悪い傾向を見る

 まずは、事業の良い面と悪い面、つまり長所と短所に着目しましょう。以前のコラム「リアル店舗が自店の強みを見出す3つの方法」で取り上げた老舗の雑貨店は、客数減少の中、昭和の頃から在庫となっている死に筋商品を昭和レトロという打ち出し方で陳列し、集客に成功しました。つまり、短所を長所に転換した事例です。

 この雑貨店は、老舗であるため多くの仕入先が存在することや在庫が豊富であるという長所があります。これに対して、死に筋商品を多数在庫していることや顧客に自店の魅力を伝えきれずに客数の減少を招いているという短所もあります。

 このように、経営環境を漏れなくダブり無く見る視点として、良い傾向と悪い傾向という視点が挙げられます。

(2)内部環境と外部環境を見る

 経営環境は、ステップ1で見たように良い傾向と悪い傾向の両側面を見ることの他に、内部環境と外部環境を見ることによっても、漏れなくダブりなく見ることが可能となります。

 内部環境としては、人材の質と量といった人的資源の面、在庫や店舗といった物的資源の面、現金預金の増加率や資金繰りの状況といった財務的資源の面、情報の受発信状況といった情報的資源の4つの面が挙げられます。これがどのような状態なのかを見ます。

 外部環境を見る場合に外せないのは、顧客と競合の動向です。顧客に価値を与え、競合と差別的優位性を構築することが事業運営を有利に進めるポイントになるからです。その他にも、法令の改正や景気動向などより広い視点で見ることも重要ですが、外部環境を検証する際は、まずは顧客と競合に目を向ける必要があり、これがどのような状態なのかを見ます。

(3)ステップ1・2を組み合わせる

 内部環境には良い傾向と悪い傾向があります。同様に外部環境にも良い傾向と悪い傾向があります。良い傾向・悪い傾向と内部環境・外部環境それぞれを縦と横軸にとると、強み・弱み・機会・脅威という4つの象限が見出せます。

 ステップ1・2で列挙した状況を4つの象限に振り分けた上で、強みに転換できる弱みがないかを検討します。強みに転換できそうだと感じたら、外部環境の良い傾向である機会を活かせるか、つまり、顧客に価値を与え、競合と差別化できるか、を検討します。

 なお、脅威を機会に転換することはハードルが高いと言えます。なぜなら外部環境は自店の力が及びにくく、変化をもたらすことが困難であるからです。これに対して、内部環境は変化をもたらしやすく、前述の雑貨店であれば、弱みである死に筋商品を倉庫から引っ張り出して、店頭に陳列するという変化をもたらすことが可能となります。

 今回のコラムでは、発想を転換するためのステップとして、(1)良い傾向と悪い傾向を見る、(2)内部環境と外部環境を見る、(3)ステップ1・2を組み合わせる、という3ステップを見てきました。なお、ステップ1・2は順不同です。

 発想の転換というと、ひらめきめいたことを想像されますが、きちんとステップを踏んで検証することにより、何かしらの打ち手は見出せるものです。つまり、経営に八方ふさがりはなく、八方ふさがりと感じる状態であるだけと言えるでしょう。

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