洗車やタイヤなどガソリン以外の商品を油外商品と呼びますが、これらは利益率が高いという特徴があります。多くのガソリンスタンドでは、利益を確保するためにこの油外商品の販売について、個人実績を管理し、業績を上げようと取組んでいます。
ですが、この油外商品の販売が得意なスタッフもいれば、そうでもないスタッフもいます。今回のコラムでは、経営陣・管理職が、この油外商品の販売が苦手なスタッフとどう接するべきかを見てきます。
台風時にホームレスの受け入れを拒否した理由
先日の上陸で多くの被害をもたらした台風19号ですが、台東区の避難所がホームレスの受け入れを拒否したことがマスコミで取り上げられました。その理由は税金を払っていないから、とのことです。
これに対して、お笑いコンビ・ウーマンラッシュアワーの村本大輔氏は自身のTwitterで以下のように述べています。
「ホームレスを区が受け入れられないのは税金を払っていないからというツイートをみた。おれは高い税金を払ってる。それは税金を払えない人の分も負担させてもらってる。だから社会ってのは税金を払ってない人もいていい場所。税金は払える人が払えばいい。社会は誰であっても1人も見捨ててはいけない」
これを見て、弊社が過去にご支援した都内のタクシー会社を思い出しました。
2か月で売上が倍になったタクシー会社
タクシードライバーが顧客を乗せるための取組みとして、流し営業があります。これは、街中をタクシーで走り回り、顧客に拾ってもらう取組みであり、タクシーの営業手段としては効率が高いと言われているものです。
弊社がかつてご支援したあるタクシー会社は、流し営業に注力することとしました。具体的には走行距離の個人目標を与え、それを徹底的に管理していくという目標管理制度の導入です。
同社で働く各ドライバーの平均走行距離を高い順番から並べ、上位20%、中位60%、下位20%に分類しました。上位20%のドライバーは流し営業に力を入れなさいと言われなくても一生懸命走る方々、下位20%のドライバーは流し営業に力を入れなさいとどんなに言っても走らない方々です。
仮に、全ドライバーの走行距離が伸びたら伸びたで、下位20%は発生しますから、それはそれでしょうがない。彼らの稼げない分を上位20%と中位60%のドライバーが稼げばいいという考え方の元、中位60%のドライバーの目標管理を特に重点的に行いました。
結果として、中位の走行距離が伸び、それに負けたくない上位の走行距離がさらに伸び、下位の一部ドライバーはそれに引きずられるように伸び、売上が急上昇しました。
下位の存在を認める
油外商品の販売が不得手なスタッフ、税金を払えないホームレス、流し営業が苦手なタクシードライバー。彼ら彼女らがいてガソリンスタンドが、社会が、タクシー会社が成り立っています。
ガソリンスタンドでは、管理者が油外商品の販売実績が芳しくないスタッフを叱りつけたり、嫌みを言ったりするものの効果は薄く、退職が促進されて人手不足に拍車がかかるケースをよく目にします。
油外商品が売れないのであれば、売れるスタッフに販売は任せ、そのようなスタッフが販売に集中できるように、販売以外の役割を、売れないスタッフに担ってもらったほうが、みんながハッピーになれると思いますが、いかがでしょうか。
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