昨年、今年と出版した人手不足克服をテーマにした電子書籍ですが、予想に反して売れ行きが多く、少しびっくりしています。なお当該書籍は、当コラムの最下部にご紹介のリンクがありますので、ご興味のある方は見てみてください。
さて、人手不足克服といったテーマの電子書籍が売れるということは、それだけ人手不足に苦しむ職場が多いということなのでしょうが、そのような職場は、とにもかくにも、まず募集をして人を集めようとします。ですが、それにより却って厳しい思いをすることになる可能性が高まります。今回のコラムでは、その理由をガソリンスタンドを事例に見ていきます。
人手不足のガソスタがいきなり求人をしてはいけない理由1:教育の負荷が報われないため
人手不足を克服するべく募集をして新たに人材を獲得したとします。獲得しただけでは人手不足が克服されたことにはならず、そこから1人前になることで人手不足が克服されたことになります。よって、教育が必要になります。職場のルールから始まり、顧客からの注文の受け方、会員カードのお勧めの仕方、ガソリンの入れ方、窓の拭き方など、新人スタッフには様々なことを教えていかなければなりません。
それを通じて、1人前になってくれれば良いのですが、その前に辞められてしまう場合もあります。そもそも既存スタッフが辞めたから人手不足になったわけで、退職防止策を講じない限り、新人スタッフは入社しても、1人前になる前に辞める可能性が高いわけです。
新人スタッフに辞められると、人手不足の中、身を粉にして一生懸命教育に当たってきた既存スタッフは、自身の負荷が報われなかったこととなり、無力感を覚えます。さらには、次に示すように教育を担当したスタッフ以外のスタッフにも悪影響を及ぼします。
人手不足のガソスタがいきなり求人をしてはいけない理由2:士気が落ちるため
人手不足の中、厳しい思いをして働いている既存スタッフにとって、入社してきた新人スタッフは期待の星です。彼が1人前になってくれれば、やっと一息つける。休憩も休日も取れるようになる。お客さんを待たせないで済むし、それに伴うクレームも受けなくて済む。給油中にガソリン以外の商品を売るための声掛けもできるようになる。
ですが、退職防止策を講じない限り、そんな淡い期待も新人スタッフの早期退職により、粉々に打ち砕かれます。これを受け、既存スタッフは思います。「またかよ。入社してもすぐに辞めた奴は今回が初めてじゃないよね、まったく!」このようにして、既存スタッフの士気は低下の一途を辿り、退職への道が開けてしまいます。そして次に示すように、辞めたスタッフがさらなる悪影響を及ぼす可能性が高まります。
人手不足のガソスタがいきなり求人をしてはいけない理由3:悪評が広がるため
人手不足のガソリンスタンドが、既存スタッフの退職防止策を講じないまま、人材の募集をしてしまうと、これまで見てきたように、店内に悪影響が発生するだけでなく、店外に発生した悪影響を被るリスクがあります。
新人スタッフがそのガソリンスタンドに入社しても、人手不足でろくに仕事を教えてもらえず、ほったらかしにされたら、自分はあまり大事にされてないんだな、と感じて退職する可能性が高まります。
また、ろくに仕事を教えてもらえず、ぶっつけ本番で接客をさせられたら、当然うまく接客できないのはもちろん、顧客に迷惑をかける場合もあるでしょう。結果としてクレームとなった場合に、無力感どころか罪悪感を感じ、退職する可能性が高まります。
退職したその方は、家族や友人にそのことを言うでしょう。人材募集の告知を見て応募してくる方々は、近隣に居住する場合が多いわけですから、地域の悪評が広まることとなり、業績に影響を及ぼす可能性が高まります。
では、どうすれば良いのか。繰り返しになりますが、退職防止策を講じることです。そのためには従業員満足を向上させる必要があります。従業員満足は、標準化、能力開発、モチベーションから構成されます。それぞれの充実化の方法は以下のコラムを参考にしてください。
【標準化】
経営理念が意味するもの
経営理念の浸透が現場にもたらした効果
【能力開発】
うまくいくOJT、うまくいかないOJT
アルバイトスタッフにOJTのトレーナーを任せる3つのメリット
【モチベーション】
ベテラン社員のモチベーション
年上の部下への対応
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2020年3月15日発行 定価1,055円