切り口を明確にして強みを記載することにより、小規模事業者持続化補助金に採択される可能性が高まります。
小規模事業者持続化補助金「美容室」採択のポイント
小規模事業者持続化補助金を活用して、移動式シャンプーユニットの導入、ホームページ・パンフレットの作成費用を調達するために、美容室の経営者が予め記載してきた計画書を採択レベルにブラッシュアップしていったプロセスをご紹介していきます。
今回は、下図の赤枠部分、様式2-1<経営計画>内の「3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み」を見ていきます。
事前に書かれてきた内容
同店が事前に書かれてきた内容は概ね以下となっていました。
【自店の強み】
①施術されている姿は外から丸見えではなく、内装の色や店内ミュージックも含め、落ち着いて過ごすことのできる雰囲気を出している。
②○○通り沿いに立地している。
③近隣に大型スーパーとドラッグストアがあり、買い物ついでに来店ができる。
【提供するサービスの強み】
①店内に顧客1名のみの完全予約制であり、施術の最初から最後までオーナーが担当し、他の顧客へ気を遣わずに会話を楽しんだり、ご要望をおっしゃっていただいたりしている。
②年金生活でも頻繁にご来店が可能になるように60歳以上の方へ割引制度を実施している。
見出しを【自店の強み】と【提供する商品・サービスの強み】ではなく【自店の強み】と【提供するサービスの強み】としていたのは、同店がサービス業であることを意識したからだと思います。見出し的には問題は感じませんが、内容はブラッシュアップしていく必要があります。
それは強みなのか検討する
当コラムでは、強みを「顧客に価値を提供でき、競合より優れている経営資源」と定義付けています。よって、前回のコラム小規模事業者持続化補助金で出張美容を展開した美容室の事例②で取り上げた「顧客ニーズと市場の動向」が重要になってきます。
顧客ニーズに応えることができないと顧客に価値は提供できませんし、競合の状況を把握していないと競合よりも優れているかどうかが分からないからです。
これを踏まえて、同店が記載してきた内容を見ていきますと【自店の強み】の②③は近隣の競合にも当てはまる話であり、強みとは言えないことになります。そこで、これらは削除していただき、次に示す経営資源の切り口から改めて自店の強みを見当していただきました。
切り口を意識する
ここで言う「切り口」とは分析や議論などにおける観点を指します。強みを経営資源から見出す場合、「人」「物」「金」「情報」という4つの切り口があります。同店は【自店の強み】を検討する際に「物」つまり店舗の強みに目が向いており、それ以外の経営資源へはあまり目が向いていないようです。
そこで、経営者やスタッフの経歴やスキルといった「人的資源の強み」、借入金の状況や金融機関との関係性といった「財務的資源の強み」、受発信している情報やノウハウといった「情報的資源の強み」も検討していただきました。
この「情報的資源」に属するノウハウですが、「人的資源の強み」や以下で取り上げる【提供するサービスの強み】と重複することになります。
例えば、「経営者が高いコミュニケーション能力を保有しており、顧客が認識していなかった髪の悩みを引き出すことができるノウハウがある」という「情報的資源の強み」がある場合、そのようなノウハウを持っている経営者に着目した場合は「人的資源の強み」であり、その髪の悩みに応じたサービスは【提供するサービスの強み】になります。
このような場合にどの強みとするかは、記述量のバランスを検討した上で決めていただければ良いでしょう。
このようにして「自社や自社の提供する商品・サービスの強み」をブラッシュアップしていきました。次回は「経営方針・目標と今後のプラン」について見ていきます。
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