小規模事業者持続化補助金に採択!エステサロンの事例(後編)

小規模事業者持続化補助金

 初の補助金申請に挑む経営者が手探りで作成した計画書を、どのように修正すれば採択にたどり着けるのか。小規模事業者持続化補助金に採択!エステサロンの事例(前編)小規模事業者持続化補助金に採択!エステサロンの事例(中編)でご紹介した、地方都市に立地するエステサロンの事例を引き続き見ていきます。なお、当コラムの内容は2020年4月9日現在の情報に基づくものとなっています。

1.補助事業計画の記入に関する留意点

(1)「補助事業で行う事業名」の記入に関する留意点

 まず、<補助事業計画>の「1.補助事業で行う事業名」は、フォーマットに記載の通り【30 文字以内】で記入する必要があります。この経営者が書いてきた事業名が長い印象を受けたので、字数を数えてみたところ、35文字でしたので修正をお願いしました。

(2)「販路開拓等(生産性向上)の取組内容」の記入に関する留意点

 次の「2.販路開拓等(生産性向上)の取組内容」には、補助金を使って実施したいことが4つ、具体的には、①看板の入れ替え、②照明の導入、③チラシ作成、④予約システムの導入が、それに続いて「実施スケジュール」「売上目標」が記載されていました。

 これを受け、補助金を使って実施したいこと4つそれぞれについて、以下を明確にしていただきました。

 ・When(いつ実施するのか)
 ・Where(どこで実施するのか)
 ・Who(誰が実施するのか)
 ・What(何を実施するのか)
 ・Why(なぜ実施するのか)
 ・How(どのように実施するのか)

 例えば「看板の入れ替え」なら以下のような形です。

 ・When(いつ実施するのか):□□年●月~●月
 ・Where(どこに設置するのか):当店の店頭
 ・Who(誰が実施するのか):代表が○○社とデザインの打合せを行い、発注
 ・What(何を実施するのか):既存看板を新規看板に変更
 ・Why(なぜ実施するのか):当店の事業内容を訴求するため
 ・How(どのように実施するのか)
  ①〇〇社と看板のデザインについて打合せ
  ②デザインに関してはメールでやりとりを実施
  ③完成後、当店へ配送 
  ④代表が設置の立会いを実施

 また、上記の「Where(どこに設置するのか)」では設置する予定の場所を写真で示したり、「What(何を実施するのか)」では既存看板の写真を示し、それと比べて新規看板はどのようにブラッシュアップする予定なのかを説明したりするとより具体的になります。なお、公募要領のP53 「審査の観点」には以下の記述があります。

 ③補助事業計画の有効性
 ◇補助事業計画は具体的で、当該小規模事業者にとって実現可能性が高いものとなっているか。
 ◇地道な販路開拓を目指すものとして、補助事業計画は、経営計画の今後の方針・目標を達成するために必要かつ有効なものか。
 ◇補助事業計画に小規模事業者ならではの創意工夫の特徴があるか。

 これらを上記5W1Hの記載で訴求することがポイントとなります。なお、事前に記載されていた内容は、補助金を使ってやりたいこと4つの他に「実施スケジュール」「売上目標」でしたが、「実施スケジュール」はそのまま活用、「売上目標」は<経営計画>の「4.経営方針・目標と今後のプラン」に記載していただいていますので、削除しました。

(3)「補助事業の効果」の記入に関する留意点

 「3.業務効率化(生産性向上)の取組内容」に関しては、任意記入であること、同店は効率化をテーマとした補助事業を展開する予定はないことを理由に空欄としました。

 その次にある「4.補助事業の効果」ですが、この経営者が事前に書いてきた内容は「見込まれる効果」が6つと「目標」でした。

 まず、「見込まれる効果」は思いつくままランダムに書かれていたので、【当店】【顧客】【地域社会】それぞれの効果(メリット)にまとめ直していただきました。また、それぞれの効果は「定量的な効果」、「定性的な効果」を検討していただきました。

 特に【地域社会】の効果として「地元の女性が美しくなりコンプレックスを解消し、自分に自信が持てることにより出会いや結婚、出産の確率が高まる」という記載は、同店経営者の「美」に対する意気込みが伺え、非常に良い印象を持ちました。

 さらに「見込まれる効果」の他に書かれていた「目標」は前述の通り<経営計画>の「4.経営方針・目標と今後のプラン」に記載していただいていますので、削除しました。

(4)「経費明細表」の記入に関する留意点

 様式3の経費明細表では、経費区分(下図の赤丸部分)に「看板」など欲しいものが書かれていましたが、この欄に記入するのは、①機械装置等費、②広報費、③展示会等出展費、④旅費、⑤開発費、⑥資料購入費、⑦ 雑役務費、⑧借料、⑨専門家謝金、⑩専門家旅費、⑪設備処分費、⑫委託費、⑬外注費、のいずれかであり、このミスは非常に多く見受けられます。

 また、経費内訳(下図の青丸部分)は「単価×回数」で記入する必要がありますが、「回数」に該当する数値が抜けていました。看板を1枚作成するとして、看板作成料が10万円であれば、「100,000×1」と記載する必要がありますので、記入をし直していただきました。

 このようにブラッシュアップをして、申請をしたところ無事採択され、これを追い風に同店は業容をさらに拡大させ、個人事業から法人化し、地域で大きな存在感を放つようになりました。この事例が小規模事業者持続化補助金の採択を目指す方々の参考になれば幸甚です。

2.当コラムの解説動画

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