自社の強みを見出し、読み手に伝わりやすく示すにはいくつかのポイントがあります。
業績の厳しいある化粧品店が、告知力を強化するべく店舗の外装を変更することにしました。この際に、小規模事業者持続化補助金を活用しようとしたわけですが、補助金は応募すれば必ず支給されるわけではありません。
小規模事業者持続化補助金「化粧品店」採択されるポイント
補助金は、それを支給することにより、さらなる収益拡大を通じた納税額の増加が見込める事業者に支給され、その判断は事業者が提出する計画書の審査を通じてなされます。
同店は結果としてこの補助金に採択されたわけですが、どのようにして採択されるレベルの計画書を作成したのか、そのプロセスを見ていきます。今回のコラムでは、下図の赤枠部分、様式2-1の<経営計画>内にある「3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み」を見ていきます。
不要な記述を削る
まず、同店が予め当欄に記載されてきた内容を整理しますが、整理とは不要な記述を削ることです。
例えば「親切で親しみやすい」などは「親切」か「親しみやすい」のどちらかひとつを使えば、読み手に伝わります。また、当欄は「強み」について記載する欄ですので「利便性が高い点について優位性がある」といった記述であれば「優位性がある」は不要です。
そのような作業を実施した結果、以下の内容となりました。
①1人1人の顧客に対して時間をかけた親切な接客により、リピーター率が9割となっている。
②町内での化粧品専門店は、当店のみであり、近隣の顧客にとっては利便性が高い。
③ブランド化粧品○○の店内売上シェアが高く、お客様の支持をいただいている
④今後は、さらに接客スキルを磨き、1人1人の顧客を大切にしながら、新規顧客を増やして行きたい。
これらの内容をブラッシュアップしていきます。
論理のトビがないか
当コラムでは「強み」を「顧客に価値を提供でき、競合より優れている経営資源」と定義付けます。この定義に照らし合わせると①は強みと言えます。ただし、「親切な接客」と「リピーター率が高い」ことに直接的な関係は見出しにくいと感じました。これを「論理のトビ」と呼びます。
これを解消させるには「トビ」をなくす、つまり「繋ぐ」ことです。具体的には、「親切な接客」により「初対面の顧客であっても関係性が構築されやすい」ため「リピーター率が高い」という形で繋げると説得力が高まります。
一般論を述べていないか
②は一般論というか当然の話です。地域に化粧品店が1軒しかなければ、地域で化粧品が欲しい方は利便性を享受できるからです。ここで着目したいのは、昔は地域に化粧品店は何軒かあったという事実です。そんな中で同店が生き延びることができたのはなぜなのか。これを検討することにより、「強み」を見出すことが可能となります。
③も同じことが言えます。あるブランド化粧品○○のシェアが高いのであれば、なぜ高いのか。従業員の接客が良いからなのか、商品力が高いからなのか、そうであればどんな商品力を備えているのか、そこを深掘りすることにより、「強み」を見出していく必要があります。
関係ないことを書いていないか
④は「強み」ではなく「方針」です。よって、次回見ていく「4.経営方針・目標と今後のプラン」に盛り込む内容となります。
最初はその項目に沿った内容を書いていたとしても、書き進めていくうちに、他の項目に書くべきことを一生懸命書いていたという例は非常に多く、結果として伝わりにくい内容になってしまい、審査で不利になる場合があります。伝わりにくいということは、その計画の内容が理解しにくく、そのような計画に高得点を与えるわけにはいかないからです。
このようにして、「3.自社や自社が提供する商品・サービスの強み」をブラッシュアップしていきました。次回は「4.経営方針・目標と今後のプラン」を見ていきます。
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