小規模事業者持続化補助金で告知力を強化した化粧品店の事例⑥

小規模事業者持続化補助金

 近江商人の経営哲学「売り手よし」「買い手よし」「世間よし」の「三方よし」は、「補助事業の効果」を考える際に、是非活用したい観点です。

小規模事業者持続化補助金「化粧品店」採択されるポイント

 小規模事業者持続化補助金に応募するために、化粧品店の経営者が予め記載してきた計画書を採択レベルにブラッシュアップしていったプロセスをご紹介するシリーズ、最終回となる今回は、下図の赤枠部分、様式2-1<補助事業計画>内の「4.補助事業の効果」、様式3-1「Ⅱ.経費明細表」を見ていきます。

「顧客の効果」を検討する

 同店の経営者が予め記載されてきた「4.補助事業の効果」を拝見すると、補助事業として外壁の塗装を行い、カッティングシートを貼付けることにより、集客力が向上するので、売上高が25%向上するという効果が示されていました。

 さらに、「地域の潜在的な消費増加により地域消費全体が活性化する」という地域社会の効果も示されていました。これは「売り手よし」「世間よし」の「二方よし」であり、冒頭に示した「買い手よし」の観点も盛り込む必要があります。

 この場合の「買い手よし」つまり「顧客の効果」として挙げられるのは、「入店がしやすくなり、当店の強みである時間をかけた親切な接客を受けることができる」といった強みを知ることができる、という点が挙げられますので、その観点から「顧客の効果」を盛り込んでいただきました。

 ただし、当欄は「顧客の効果」の追記以外に修正する部分がありました。

因果関係を意識する

 同店経営者は「地域社会の効果」として、前述したとおり「地域の潜在的な消費増加により地域消費全体が活性化する」という内容を記載していましたが、これは一読しただけでは意味がとりにくい印象を持ちました。

 「地域の潜在的な消費増加」とは、自店に訪れる新規顧客が増加するということだと理解しましたが、それが「地域消費全体が活性化する」とどのように結びつくのか、因果関係が不明です。 例えば「当店の集客が増加する」ことにより「周辺店舗でのついで買いが誘発」され、「地域の消費が活性化する」のであれば、理解は容易になります。因果を丁寧につないで一読しただけで意味がとれるようにしていただきました。

経費明細表は細かく示す

 経費明細表の記載で、できるだけ避けたいのは「一式」という記述の仕方です。その理由は、以下の公募要領「審査の観点」のページにおける赤枠部分の加点がもらえない可能性があるからです。

 同店は「店舗外装塗装 ○○円×一式」「カッティングシート作成・貼付け ○○円×一式」と記載しており、「事業費の計上・積算が正確・明確」とは判断しにくい印象を受けました。

 外装塗装にせよカッティングシートの作成・貼付けにせよ、細かなプロセスがあり、それに対する見積もりが出るはずですので、事前に見積書を取り寄せて、それに基づいて記載することをお勧めしました。

 このようにして、ブラッシュアップを行った結果、小規模事業者持続化補助金に採択されたわけですが、化粧品店は基本的に女性をターゲットとしているので、感性に訴求するイメージ戦略がポイントです。

 その化粧品店に行くと綺麗になれるというイメージを小規模事業者持続化補助金で作ったり、強化したりしてみてはいかがでしょうか。その際に、当コラムが参考になることを期待しています。

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