自社の取組みが、外部環境の変化に正しく対応したものであれば、その効果が期待できるわけですが、小規模事業者持続化補助金<一般型>「顧客ニーズと市場の動向」では、その外部環境を的確に把握しているかどうかが問われています。
1.採択の可能性を高める「顧客ニーズと市場の動向」の書き方
当コラムでは、小規模事業者持続化補助金に採択されるべく事業者様が作成した計画書について、採択されるレベルにブラッシュアップしていった事例を多数ご紹介していますが、それぞれの事例におけるブラッシュアップのポイントはほとんど共通しています。
当コラムでは、その共通点をご紹介していきますが、今回は下図の赤枠部分、様式2-1 経営計画書兼補助事業計画書①<経営計画>内の「2.顧客ニーズと市場の動向」の書き方を見ていきます。なお、当コラムの内容は2020年8月17日時点の情報に基づいています。
小規模事業者持続化補助金<一般型>に応募する際の作成書類(原則)
採択の可能性を高める「顧客ニーズと市場の動向」の書き方(1)2つに切り分ける
当欄のタイトルは「顧客ニーズと市場の動向」ですが、これらをまとめて書こうとすると冗長になりがちで、読み手に伝わりにくくなってしまうリスクを高めます。そこで【顧客ニーズ】【市場の動向】と見出しを2つ設け、内容を切り分けると整理がなされ、読みやすくなるでしょう。
採択の可能性を高める「顧客ニーズと市場の動向」の書き方(2)「顧客ニーズ」を定義づけする
「顧客ニーズとは何ですか?」と問われたとして、答えに窮する状態で「顧客ニーズ」を記載しても内容がブレてしまい、矛盾を与えてしまうリスクがありますので、ご自身なりに言葉の意味を定義する必要があります。
なお、弊社では顧客ニーズを「自社を使用することで達成したい顧客の目的」と定義づけていますが、定義に沿って記載することにより、不要な内容が混在せず、説得力の高い「顧客ニーズ」を記載できる可能性が高まります。
採択の可能性を高める「顧客ニーズと市場の動向」の書き方(3)競合動向を記載する
マクロ環境とは、自社が直接コントロールすることが困難な大枠的な外部環境です。具体的には人口、景気、技術動向などが挙げられます。これらは、貴社が何をどうしようとまず変えることはできないでしょう。
これに対して、ミクロ環境は自社と直接的に関わる環境であるため、自社の取組みが影響を及ぼすことができるような環境であり、具体的には、顧客・競合動向が挙げられます。
このミクロ環境の中で競合動向を取り上げるべきとする理由のひとつとして、今回見ている「2.顧客ニーズと市場の動向」の次に「3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み」があり、そこに記載した「強み」は競合より優れていることを示すと説得力が向上するからというものが挙げられます。
マクロ環境もミクロ環境を記載することが理想的ですが、紙面の都合があるようなら、最低でもミクロ環境は記載したいところです。
採択の可能性を高める「顧客ニーズと市場の動向」の書き方(4)「市場の動向」の根拠を示す
マクロ環境として記載しやすいのは、商圏人口や市場規模の推移です。商圏人口であれば自治体のホームページの他に、国勢調査や官民のビッグデータを活用したRESASなどを利用するとよいでしょう。
市場規模であれば、自社で扱う商品について、家計調査年報で1世帯あたりの支出額を把握し、商圏内の世帯数をかければ把握できます。もっとも調査会社が市場規模自体のデータを公表している場合もありますので、それを活用しても良いでしょう。
これらの留意点は、出典を示すこと、一時点の数値ではなく数年にわたる動向を示すことです。出典が明確でないと、都合の良いデータを持ってきたのではないかと読み手に猜疑心が湧いてしまうリスクが高まるでしょう。また、市場の「動向」という見出しを設けながら一時点のみの数値を示していては、整合性に難があることになります。
採択の可能性を高める「顧客ニーズと市場の動向」の書き方(5)補助金ありきの発想を捨てる
例えば、幅広い年齢層を顧客に持つ事業者が、高齢者向けに販促費を使いたくて小規模事業者持続化補助金に応募しようとした場合、高齢の顧客が抱く顧客ニーズや、高齢の顧客の動向を記載したくなります。
これはこれで構わないのですが、事業全体としては幅広い年齢層を顧客に持っていますから、年齢に拘らない顧客ニーズや顧客の動向も記載する必要があるでしょう。これを省いてしまうと、補助事業ありきの外部環境分析となってしまい、偏った視点が際立ってしまいます。結果として、事業拡大の可能性も高いものとは判断できず、不採択に近づいてしまいます。
今回のコラムでは、様式2-1 経営計画書兼補助事業計画書①<経営計画>内の「2.顧客ニーズと市場の動向」の書き方として(1)2つに切り分ける、(2)「顧客ニーズ」を定義づけする、(3)競合動向を記載する、(4)「市場の動向」の根拠を示す、(5)補助金ありきの発想を捨てる、をご紹介しましたが、この前の項目の書き方に関しては、以下のリンクをご参照下さい。なお、次回のコラムでは「3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み」について見ていきます。
2.当コラムの解説動画
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