見出しと切り口、そして本当にそれは自店の強みなのかを検討することで、小規模事業者持続化補助金に採択される可能性が高まります。
1.小規模事業者持続化補助金「エステサロン」採択のポイント
小規模事業者持続化補助金を活用して、情報発信と店舗改装に関する費用を調達するために、あるエステティックサロンの経営者が作成した計画書を採択レベルにブラッシュアップしていったプロセスをご紹介していきます。
今回は、下図の赤枠部分、様式2-1<経営計画>内の「3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み」のうち、前半部分を見ていきます。
(1)「自社の強み」の内容を整理する
同店が事前に書かれてきた内容を拝見すると「自社の強み」と「自社の提供する商品・サービスの強み」に切り分けて書かれていました。このように切り分けることは内容が整理され、読みやすくなりますが、「自社の強み」を整理すると概ね以下の内容となりました。
【リピーターが多い】
①マンツーマンの接客なので、お肌の悩みだけでなくプライベートなお話ができ顧客に寄り添った接客ができる。
②お肌を触らせていただき、顧客のお肌に現時点で必要な化粧品の提案ができる。
③化粧品の使用方法、使用する際のアドバイスなどを直接ご提案できる。
④定期的に研修を受講し、常に新しい情報を顧客にお伝えできる。
【立地が良い】
①3台分のスペースがある駐車場を店舗前に保有している。
②前面道路は交通量が多く、大型スーパーの近くなので初来店の顧客でも場所が分かりやすく迷うことなくご来店が可能である。
これらをブラッシュアップしていきます。
(2)見出しを検討する
まず、この欄の構成ですが【リピーターが多い】【立地が良い】を強みとして挙げ、多くのリピーターを確保している要因、良い立地と言える要因を述べています。ですが、【リピーターが多い】ことはそれに続く①~④の結果であり、【立地が良い】ことはそれに続く①②をまとめたものであり、読み手はこの見出し自体に違和感を抱く可能性があります。
一般的に見出しはそれに続く文章のまとめですから、【立地が良い】はともかく【リピーターが多い】という見出しは【接客力が高い】【商品知識が豊富】といったものにしたほうが、しっくりくるはずですが、もっとしっくり来る見出しを以下でご紹介します。
(3)切り口を検討する
当コラムでは、強みを「顧客に価値を提供でき、競合より優れている経営資源」と定義付けていますが、経営資源は「人」「物」「金」「情報」から構成されます。
そこで、上記の【リピーターが多い】に続く①~④をこの切り口からまとめると、①~③は施術者の知識やスキルに関することですので、人的資源の強みであり、④は情報的資源の強みとなります。また、【立地が良い】に続く①②は店舗に関することですので、物的資源の強みとなります。
このようにまとめていくと【リピーターが多い】と【立地が良い】という見出しを改めた【接客力が高い】もしくは【商品知識が豊富】と【立地が良い】という見出しよりも、【人的資源】【物的資源】【財務的資源】【情報的資源】という見出しの下でまとめていく方が、ヌケモレの無い記述となり、説得力が高まえるでしょう。
(4)それは本当に強みなのか検討する
前述の通り当コラムでは、強みを「顧客に価値を提供でき、競合より優れている経営資源」と定義付けていますが、ここでは「競合より優れている」かどうかに着目します。
【リピーターが多い】に続く①~④は、競合が実施していなければ自店の強みといえるでしょう。例えば①でマンツーマンの接客を強みとして挙げています。ですが、競合店もマンツーマンの接客をしていれば、強みとはいえません。
【立地が良い】に続く①②も同様で、例えば①で3台分の駐車場を保有していることを強みとして挙げていますが、競合店が5台分の駐車場を保有していれば強みとはいえません。
そこで、前回のコラム小規模事業者持続化補助金で集客力を高めたエステサロンの事例②で解説した競合動向の記載が重要となってきます。これを踏まえて、前述した4つの経営資源から強みをまとめると説得力はより向上するでしょう。
このようにして、様式2-1<経営計画>内の「3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み」のうち「自社の強み」をブラッシュアップしましたが、次回は同欄の後半部分「自社の提供する商品・サービスの強み」について見ていきます。
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