補助金を使って何をしたいのか。これを明確に伝えることが採択のポイントとなります。初めて小規模事業者持続化補助金の申請に挑んだ家族経営のスポーツ用品店が、採択されるレベルの様式2と3をいかに作り上げていったかを紹介するシリーズ、今回は3回目となります。
今回のコラムでは、下図の赤丸部分、様式2「経営計画書兼補助事業計画書 ①」<経営計画>の「4.経営方針・目標と今後のプラン」、<補助事業計画>「1.補助事業で行う事業名」「2.販路開拓等(生産性向上)の取組内容」(長ったらしくてすいません、図を参考にしてください)を見ていきます。
方針と目標の切り分け
【方針は方向性】であり、【目標は行き着く先】です。体重を〇㎏落とすという目標があるなら、カロリーの摂取を控える方向で実現するのか、カロリーを消費する方向で実現するのか、両方を行うならどちらにどの程度注力する方向性なのか、ということです。
「4.経営方針・目標と今後のプラン」に同店が予め記載してきた内容に、【方針】として「〇〇を目指していく」とありましたが、この「〇〇」は行き着く先であり、【目標】のはずです。この【方針】と【目標】は意図的に切り分けていかないと、このように混乱することとなります。
強みの強化
小規模事業者は、大手と比べると経営資源の質と量で劣ります。この限られた経営資源を弱みの克服に使うのではなく、強みを強化させる方向に使って、相対的に弱みを縮小させていくのがセオリーです。小規模事業者持続化補助金の様式に弱みを書く欄がないのは、このような意味合いもあると解釈しています。
これを踏まえて同店が記載してきた「今後のプラン」を拝見すると、集客とイベントのプランが記載されておりましたが、「3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み」で挙げた強みである経営資源(小規模事業者持続化補助金に採択!スポーツ用品店の事例(中編)参照)を今後いかに強化させていくか、という視点が伺えませんでした。
よって、「人」「物」「金」「情報」を数年かけてどのように強化していくかというプランを記載していただき、反面、記載されてきた内容は、次に見ていく<補助事業計画>に盛り込むことにしました。
「結論先出し」を
予め記載していただいた<補助事業計画>を拝見すると、「1.補助事業で行う事業名」は30文字以内で収まっていますし、特に問題は感じませんでした。
次の「2.販路開拓等(生産性向上)の取組内容」では、取り扱っているグローブのこだわり、グローブをそれぞれの顧客にフィットするように型を付けるサービスや補修、再来店促進の取組みについて3ページにわたって書かれていました。
同店は、これらを訴求するためにホームページとチラシを補助金で作成したいということですが、この欄は、補助金を使って何をするのか、つまり「ホームページとチラシを作って情報発信を強化する」ということを真っ先に書く必要があります。
そして、このホームページとチラシそれぞれの作成を5W1Hで述べることとなります。例えば、ホームページなら、
・When(いつ作成するのか):〇年〇月~〇年〇月
・Where(どこで作成するのか):◇市のIT系企業△社
・Who(誰が作成するのか):代表の妻と息子が発注
・What(何を作成するのか):当店の強みが分かる自社ホームページ
・Why(なぜ作成するのか):より多くの方に当店の補修技術を知っていただくため
・How(どのように作成するのか)
〇年〇月 業者との打合せ
〇年〇月 写真・動画提供
〇年〇月 サンプルのホームページを確認
という形になります。
そして、予め書かれていたグローブのこだわりなどは、ホームページに盛り込む内容として説明をしていくと分かりやすいものとなります。
今回のコラムでは、様式2「経営計画書兼補助事業計画書 ①」<経営計画>の「4.経営方針・目標と今後のプラン」、<補助事業計画>「1.補助事業で行う事業名」「2.販路開拓等(生産性向上)の取組内容」を見てきました。ポイントは、【方針と目標の切り分け】、【強みの強化】、【結論先出し】です。
そして次回の最終回は、「4.補助事業の効果」と様式3を見ていきます。
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