工場に併設したイートイン専用カフェでテイクアウトを開始し、事業を拡大させようとした食品製造販売業を営むある事業者が、その広告宣伝費用について、小規模事業者持続化補助金を活用することにしました。
結果として無事に当補助金に採択されたわけですが、どのようにして採択レベルの計画書を作成したのか、そのプロセスを紹介するシリーズ、最終回は、様式2-1<補助事業計画>「2.販路開拓等(生産性向上)の取組内容」「4.補助事業の効果」について見ていきます。
項目をグルーピングする
同社が補助金を活用したいものは、以下のように多岐にわたります。
①チラシの作成と新聞折込み
②ホームページの改修
③駐車場を示す看板
④ギフト用箱の制作
⑤ギフト用包装紙の制作
⑥ギフト用紙袋の制作
⑦店内改装
同社が事前に記載してきた内容は、上記各項目の説明を文章で示しており、分かりにくい印象を受けました。内容をよくよく拝見すると、この7項目のうち、①~③は「自社の告知を強化するもの」であり、④~⑦は「テイクアウトの利便性を高めるもの」に分けられることが分かりました。
各グループの5W1H
これを踏まえ、「2.販路開拓等(生産性向上)の取組内容」欄にまず、「販路開拓等の取組内容は、(1)自社の告知強化、(2)テイクアウトの利便性向上である」と述べていただきました。
その上で(1)(2)それぞれについて「いつ(When)、どこで(Where)、だれが(Who)、なにを(What)、なぜ(Why)、どのように(How)」の5W1Hで説明を設けることにしました。
具体的に実施していただいたこととして、(1)自社の告知強化は、横軸に「チラシの作成と新聞折込み」、「ホームページの改修」、「駐車場を示す看板」をとり、縦軸に「いつ(When)、どこで(Where)、だれが(Who)、なにを(What)、なぜ(Why)、どのように(How)」をとった表を作成しました。
同様に(2)テイクアウトの利便性向上は、横軸に「ギフト用箱の制作」、「ギフト用包装紙の制作」、「ギフト用紙袋の制作」、「店内改装」をとり、縦軸に「いつ(When)、どこで(Where)、だれが(Who)、なにを(What)、なぜ(Why)、どのように(How)」をとった表を作成しました。
5W1H各項目の書き換え
ここで、先方からの発案で、5W1H各項目を以下のように書き換えることにしました。
いつ(When)→「時期」
どこで(Where)→「場所」
だれが(Who)→「担当者」
なにを(What)→「取組内容」
なぜ(Why)→「理由」
どのように(How)→「行動計画」
このように妥当性のある発案はどんどん活かしていきたいところです。その上で、公募要領に記載のある下記「審査の観点」の創意工夫の特徴をそれぞれに盛り込んでいただきました。
「補助事業の効果」の留意点
次に「4.補助事業の効果」を見ていきます。「自社の効果」「顧客の効果」「地域社会の効果」と切り分けて書いている点は非常に良いのですが、気になったのは「顧客の効果」です。
というのも、同社が工場で製造した製品を購入する事業者の効果だけが書かれており、カフェを利用する一般消費者の効果が書かれていなかったからです。この点を追記していただき、締め切りにあわせて事務局へ提出したところ、無事採択となりました。
補助事業の項目がたくさんある場合や、ターゲットとした顧客が複数ある場合は、今回のコラムを参考にしていただければと思います。
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