持ち帰り弁当店が、小規模事業者持続化補助金に採択される計画書(様式2と3)をどのようにして作成したか。今回のコラムは、このプロセスを紹介するシリーズの第2回目です。
なお、小規模事業者持続化補助金は、販路開拓費用の3分の2、原則として上限50万円を補助しますが、そのためには審査に通り、採択されなければなりません。よって、補助金をどのように活用するかといった内容を盛り込んだ計画書(様式2,3)の作成・提出が必要です。
同店は、予めその様式2,3を記載していましたが、当初は採択されるレベルとは言い難い内容でした。それをどのようにしてブラッシュアップしていったか、まずは、下図赤囲み部分、様式2<経営計画>内の「2.顧客ニーズと市場の動向」について見ていきます。
切り分けが必要
「できるだけシンプルに、書くべきところに書くべきことを書く」これを意識するだけで読みやすさが違ってきます。そこで、まずは【顧客ニーズ】と【市場の動向】と見出しを設けて整理します。
事前に書かれてきたものを分類すると以下となります。
【顧客ニーズ】
・質の良いものを適正価格で購入したい。
・イベント等で他地域から来街される団体客は、地元の弁当店の情報を簡単に得たい。
【市場の動向】
・競合店は、当店から500メートル圏内に立地するコンビニ、スーパーの3店。
・ホームページを活用する競合店はない。
・当店が立地する地域は世帯数の減少と企業の撤退が進んでいる。
書くべき場所に書く
上記以外に以下のことが書かれていました。
①当店は5年前に素材を見直し、手作りの弁当に切り替えたこと。
②このことが、昨年あたりから顧客に認められはじめたこと。
③当店の弁当の良さをどう知っていただけるかを考えるべきであること。
④広い範囲へ向けてホームページでアピールが必要であること。
⑤大口注文に対するスムーズな受注システムを構築する必要があること。
⑥客単価は、平日の昼食で500円以下、夕食は550円。
⑦当店の売上は2割ほど減少していること。
移動先の決め方
このように【顧客ニーズ】と【市場の動向】以外の内容が非常に多く盛り込まれていたわけですが、当欄に書くべきことではありませんので、以下のように全て移動、場合によっては削除する必要があります。
①当店は5年前に素材を見直し、手作りへの弁当に切り替えたこと。
②このことが、昨年あたりから顧客に認められはじめたこと。
→これらは、どのような素材からどのような素材に変更したのか、手作りにしてどのような品質が上がったのかを明確にして、「3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み」へ移動させます。
③当店の弁当の良さをどう知っていただけるかを考えるべきであること。
④広い範囲へ向けてホームページでアピールが必要であること。
⑤大口注文に対するスムーズな受注システムを構築する必要があること。
→これらは、今後実施するべきことですから、「4.経営方針・目標と今後のプラン」へ移動させます。
⑥客単価は、平日の昼食で500円以下、夕食は550円。
→これは「1・企業概要」へ移動させます。
⑦当店の売上は2割ほど減少していること。
→ネガティブなことはあまりアピールしたくないので削除。もし記載するなら「1.企業概要」に記載します。
実際問題として、このように書きたいことが先走ってしまい、書くべきではない場所に、書くべきではないことを盛り込んで、計画の内容を冗長にしてしまっている事例は少なくありません。
今回の事例ですと【顧客ニーズ】は顧客の果たしたい目的、【市場の動向】は外部環境という意識を持って記載する必要がありました。次回のコラムでは、この【顧客ニーズ】をどのようにブラッシュアップさせていくべきかを見ていきます。
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