それは【解釈】なのか【事実】なのか。市場動向を自身に都合よく解釈してしまうと、その市場に間違ったアプローチをしてしまいます。当然売上に結び付きにくくなりますし、小規模事業者持続化補助金に応募する際は、採択されない可能性が高まります。
小規模事業者持続化補助金の採択を目指す、ある弁当店が最初に作成した計画書は、市場動向を自身に都合よく把握していると言われても仕方のないものでした。それをどのようにしてブラッシュアップして採択に繋げることができたのか、今回のコラムでは、下図の赤枠部分を見ていきます。
競合に着目するべき理由
同店が予め計画書(様式2,3)に記載していた市場動向は以下となります。
・競合店は、当店から500メートル圏内に立地するコンビニ、スーパーの3店。
・ホームページを使って自店をアピールする競合店はない。
・当店が立地する地域は人口の減少と企業の撤退が進んでいる。
まず、市場動向として、競合に着目するのは良いと思います。というのは、この次に「3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み」を記入することとなるのですが、この「強み」は競合と比較して優れている経営資源であるからです。もっとも、それは前回のコラム「小規模事業者持続化補助金に採択!弁当店の事例(その3)」で取り上げた「顧客ニーズ」を満たすものであることは当然です。
特に小規模事業者は、経営者が店頭に立つ場合も多く、なかなか外部環境に目を向ける機会も余裕もないことが推測されますので、小規模事業者持続化補助金への応募をきっかけとして、外部環境に目を向けることの重要性をご理解いただければと思います。
競合の何をおさえるべきか
ただし、「競合店は、500メートル圏内にコンビニ、スーパーが3店」「ホームページを使って自店をアピールする競合店はない」だけでは、競合を的確に把握しているとは言い難い印象です。
お勧めしているのは、競合の社名、住所、営業時間、自店からの距離・時間、特徴、ホームページの有無などを一覧表にすることです。さらに、自店を中心に置いた地図に競合が立地する場所を示すと読み手の理解が進むでしょう。
よくいただくご質問で「競合の名前を書いていいのか」というものがありますが、小規模事業者持続化補助金の応募を受け付ける事務局や審査員は守秘義務を負っていますので、心配する必要はないはずです。逆に競合の社名・屋号を書くことは記述にリアリティが生まれます。
根拠を示す
また、市場動向として、商圏人口など潜在顧客の数に着目しているのも良いと思いました。ただし、同店のように「当店が立地する地域は人口の減少と企業の撤退が進んでいる」だけでは物足りなさを感じます。その理由は根拠がないからです。
まず、同店が言うところの「人口の減少」について見ていきます。商工会、商工会議所が公開している当補助金の公募要領は、応募する際のルールブックですがP59に参考として以下の記述(クリックすると拡大します)があります。
この「RESAS」を活用すると地域の人口動向が分かりますので、そのデータを根拠として計画書に貼り付けても良いでしょう。その他にも自治体のホームページから人口や世帯数の動向を把握し、表やグラフで示しても良いでしょう。
また、同店が言うところの「企業の撤退が進んでいる」に関しては、撤退した企業名を把握し、その企業のホームページから撤退した日にちや、その事業所で働く従業数などが分かれば、それを記載すると良いでしょう。
根拠を示すということは解釈ではなく事実を述べるということです。勝手に都合の良い解釈を書いているわけではない、という点をアピールする姿勢が必要です。
今回のコラムでは、市場の動向を把握する際に、競合の何に着目すべきか、また、根拠の見出し方について述べました。次回は、様式2「3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み」について見ていきます。
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