自店の強みを見出すことは、自店の武器を見出すということです。破壊力の高い武器がたくさんあり、それを有効に使えば、敵を倒して生き残る可能性が高まります。何となく生き延びようとする店舗とは明らかに【生命力】が違います。
小規模事業者持続化補助金に応募した事業者は、提出した計画書(様式2,3)が審査されますが、これを突破し、採択された弁当店の事例を用い、下図の赤枠部分「3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み」の記載をいかに充実させたかを見ていきます。
箇条書きを活用する
同店は、予め様式2,3に記入をしており、それをブラッシュアップしたいということで弊社がご相談を受けたたわけですが、「3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み」含め、計画全体が文章のみで構成されており、全体として読みにくい印象を受けました。読みにくいということは、内容が理解しにくいということです。そこでまず、下記のように【箇条書き】にしていただきました。
①価格帯は、5年前よりフランチャイズ店、給食弁当などの価格帯と、定食屋、蕎麦屋などの価格帯の中間で販売している。
②野菜は地場産、米・畜肉は産地直送に順次切り替え、質に加え安全性も確保し、近隣のお客様から、高い評価を頂いている。
③個人店の小回りの効くサービスにより、顧客の用途に合った弁当作りに力を注ぎ、満足度の高い弁当を作ることができる。
このように箇条書きにしたら、その内容をブラッシュアップしていくこととなります。
なぜその価値を提供できるのか
①の販売価格の件ですが、同店で販売している800円の弁当が500円の価値しかなかったら、「高い」と言われます。800円の弁当に1,000円の価値があったら「安い」と言われます。その価格で販売していることが強みなのではなく、高い価値をその価格で提供していることが強みとなります。
よって、なぜその価値をその価格で提供できるのか理由を示す必要があります。例えば、安い仕入れルートを持っている、創造性の高い弁当を発案できるノウハウがある、ファンが多く量がたくさん売れるので薄利で販売できる、このような点が強みとなります。
具体的に示す
②の食材の件ですが、「野菜は地場産、米・畜肉は産地直送」とあります。この場合、「地場産」といっても「地場」の定義は様々ですから、どこで採れた野菜なのかを示す必要があります。同様に米・畜肉の産地も示すことでリアリティが高まります。
さらには、なぜその産地を選んだのか、他の産地のものとどのように違うのかも記載すると説得力がさらに高まります。
これは③のサービスの件も同様で、「小回りの利くサービス」とは具体的にどのようなサービスなのか、「顧客の用途」とは具体的にどのような用途なのかを示します。ただし、「顧客の用途」を具体的にしていくと、「小規模事業者持続化補助金に採択!弁当店の事例(その3)」で見た顧客ニーズがあぶり出されてきますので、そちらへ記載することとなります。
よって、同店の強みとして、その顧客ニーズにどのような「小回りの利くサービス」で応えることができているのかを示します。一般に「小回りの利くサービス」とは融通が利くことを指します。予約なしでも対応ができる、顧客の好みに応じ弁当の内容をアレンジできる、地域のイベントに応じ営業時間が延長できる、など自店はどのような「小回りの利くサービス」が提供できるのかを示す必要があります。
このようなプロセスを経て強みがたくさん出てきたら【自社の強み】【自社の提供する商品・サービスの強み】に切り分け、さらに【自社の強み】は4つの経営資源、具体的には「人的資源の強み」「物的資源の強み」「財務的資源の強み」「情報的資源の強み」に切り分けて記載すると読み手に伝わりやすくなります。
今回のコラムでは、自社の強みの記載の仕方、見出し方、まとめ方について見てきました。次回のコラムでは「4.経営方針・目標と今後のプラン」について見ていきます。
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