小規模事業者持続化補助金に採択!テイクアウト饅頭店の事例②

小規模事業者持続化補助金

 テイクアウトを強化するために、小規模事業者持続化補助金の活用を決めた饅頭店が、どのようにして採択されるレベルの計画書を作成したか、そのプロセスをご紹介するシリーズの2回目は、様式2<経営計画>の「2.顧客ニーズと市場の動向」について見ていきます。

事前に書かれてきた内容

 事前に書かれてきた内容を拝見すると、以下の項目・内容が並んでいました。

 ①顧客ニーズ:当店の饅頭が食べやすい理由
 ②市場の動向:業界として過去にどのような販売方法をとってきたのか
 ③競合状況:県内に存在する競合店の数と営業時間 
 ④当店の問題点と課題

 これらを以下の観点からブラッシュアップしていきます。

言葉の定義

 当欄は「顧客ニーズと市場の動向」という外部環境に関する内容を書く欄ですから、少なくとも内部環境を書く欄ではありません。また、【顧客ニーズ】と【市場の動向】という言葉の定義をしなければ、書くべきことが不明確になってしまいます。

 言葉の定義は様々なものがあると思いますが、当コラムでは【顧客ニーズ】とは「同店の饅頭を買うことで達成したい顧客の目的」、【市場の動向】とは「同店の顧客や競合における、過去から将来にかけての傾向」と定義をして見ていきます。

整頓する

 必要なものの置き場所を決めることを整頓と言います。前述した言葉の定義を踏まえて、事前に書かれた内容は、当欄に置くべき内容なのかを検討します。

 「①顧客ニーズ」として書かれている「当店の饅頭が食べやすい理由」は、強みにあたりますので「3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み」の欄が適切な置き場所になります。よって、「①顧客ニーズ」として記載された内容をそちらへ置いてしまうと、当然のことながら顧客ニーズの記載がなくなってしまうので、顧客ニーズの内容を言葉の定義に従って新たに記載します。

 「②市場の動向」として書かれている「業界として過去にどのような販売方法をとってきたのか」は、確かに外部環境であり、過去からこれまでのことを書いていますが、対象が「顧客」や「競合」ではなく「業界」であることが、論点を外している印象です。そこで、削除してしまうか、もし計画書に盛り込むとしたら「1.企業概要」に盛り込みます。そして、こちらも新たに市場の動向の内容を言葉の定義に従って記載します。

 「③競合状況」は、置き場所としては当欄が妥当ですが、書かれている「県内に存在する競合店の数と営業時間」を見ると、競合店が数百店あることを記載しています。自店にとっての競合は絞り込んだ上で、その動向を示す必要があるでしょう。また、競合の動向は市場の動向ですので、当項目はレイアを意識して「②市場の動向」の下に置きたいところです。

ポジティブな方向性で

 「④当店の問題点と課題」は内部環境ですので、少なくとも当欄に置くべき内容ではなく、もし計画書に盛り込むなら「1.企業概要」に置くべきでしょう。

 前回のコラム「小規模事業者持続化補助金に採択!テイクアウト饅頭店の事例①」でご紹介したように、同店は「1.企業概要」に自店の弱みを記載しています。さらに今回見てきた「2.顧客ニーズと市場の動向」では、自店の問題点と課題を記載しています。

 このような内容が盛り込まれた計画書のトーンとして共通しがちなのは、「これら弱みや問題点を解決するために補助金を使いたい」というものです。

 マイナスの状況を改善するために補助金を使った結果、プラスマイナスゼロを通り越して、プラスの状況を作り出すことができればよいのですが、プラスの状況をさらに強化したほうが、効果を得る可能性が高いのではないでしょうか。よって「強みの強化」というトーンで計画を作成した方が良いと考えています。

 弱みや問題点・課題を計画に盛り込んではいけないわけではありませんが、この「計画のトーン」は留意したいところです。

 今回のコラムでは、「2.顧客ニーズと市場の動向」をどのようにブラッシュアップするべきかを見てきました。【顧客ニーズ】と【市場の動向】の言葉を定義し、それを踏まえて書いた内容の置き場所を決めていただけたらと思います。

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