新型コロナの影響による巣ごもり消費の需要拡大を受け、食品のテイクアウトを実施する店舗が増加していますが、小規模事業者持続化補助金を活用して、このテイクアウト事業を活性化させたケースがあります。
今回のコラムから4回にわたり、かつて当該補助金に採択されたこのテイクアウト店が、応募時に作成する計画書(様式2,3)をどのようにブラッシュアップして、2度目の採択を得ることができたのかを見ていきます。
なお、当時の様式2,3と現在の「令和元年度補正予算 小規模事業者持続化補助金」の様式2,3は体裁が変わっていますので、現在の体裁に合わせて解説をします。また、現在の体裁では「様式2-1」「様式3-1」となっていますが、それぞれ「様式2」「様式3」と表記します。
補助金の性格
補助金は、数少ない特定の事業者だけを対象にしてしまうと「公的資金」の意義が薄れてしまうため、多くの事業者に広く支給する必要があります。よって、過去に採択された事業者は、前回の補助金を使った事業(補助事業)と今回のそれが明確に違っていないと、採択の可能性は低くなります。
そのため、過去に採択されたことのある同店は、下図<応募者の概要>の一番下の部分「それぞれ該当する回の補助事業での販路開拓先、販路開拓方法、成果を記載した上で、今回の補助事業との違いを記載してください。」とある欄をどのように書くかがポイントとなります。
表の活用
繰り返しになりますが、当欄は採択された回の補助事業における「販路開拓先」「販路開拓方法」「成果」「今回の補助事業との違い」が求められています。これを踏まえ、同店に予め記載していただいた内容を見ていくと、以下の見出しの下で、それぞれの内容が書かれていました。
・前回の補助事業の具体的内容
・事業成果
・本事業がもたらした効果
・今回の補助事業の計画
この内容を書くべきことに直すために以下の表を活用して、まとめ直していただきました。
「1.企業概要」に書くべきこと
次に<経営計画>の「1.企業概要」を見ていきます。こちらには、(1)概要、(2)売上、(3)特徴、(4)弱み、という項目と、それに対応した内容が書かれていました。
「(1)概要」は、創業からこれまでの沿革を3行で書かれていました。この企業の社名は、酒類の販売を連想させる社名であり、サンドイッチのテイクアウトを連想させる社名ではありません。これは酒類販売の業績が厳しくなったため、社名はそのままで業態転換をした結果なのですが、これをいつ実施したのか、また、様々な業種がある中でなぜサンドイッチのテイクアウト店へ転換したのかが示されておりません。
これがないと読み手は混乱してしまいますので、盛り込んでいただきました。さらに、店舗の内外装や経営者・スタッフの写真、立地の説明とともに店舗の場所がわかる地図も盛り込んでいただきました。
「(2)売上」は、日本商工会議所、全国商工会連合会が公開している記入例の以下の部分を参考に、同様の表を作成していただきました。もともとの記載内容に各商品の写真を盛り込まれていたので、この表にその写真を挟み込むことで、より分かりやすい表になりました。
「(3)特徴」は、自店の強みが書かれていたので、この後に詳しく見ていく「3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み」へ移動していただきました。
「(4)弱み」は、記載するべきか否か、判断が分かれるところだと思います。個人的には、記入は不要と判断しています。その理由として、事業が小規模であればあるほど、弱みの克服ではなく、強みの強化が事業拡大のポイントになるからです。
質も量も十分ではない経営資源を弱みの克服に費やすよりも、強みの強化に費やした方が、効果が出やすいはずです。よって、弱みは絶対に書いてはいけないわけではないのですが、積極的に書く内容ではないと判断しています。
今回のコラムでは、前回と今回の補助事業の違いをどのように記載するか、「1.企業概要」に何を書くべきかを見てきました。次回は、これに続く「2.顧客ニーズと市場の動向」から見ていきます。
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