過去に小規模事業者持続化補助金に採択されたことのある事業者は、応募書類の書き方に工夫が必要です。補助金は広く多くの事業者に使ってほしいという行政の意向があり、特定の事業者が何度も利用するには、相応の理由が必要となるためです。
今回取り上げる雑貨店は、過去に採択されたことがあり、小規模事業者持続化補助金に応募する際の計画書(様式2,3)の書き方は、ある程度理解されていました。この雑貨店の経営者がご自身で作成した様式2,3を、弊社とともにどのようにブラッシュアップして2回目の採択に繋げていったのかを3回のシリーズで見ていきます。
なお、当時の様式2,3と今回(令和元年度補正 小規模事業者持続化補助金)の様式2,3は若干体裁が違いますので、今回の様式に当てはめて述べていきます。また、単独申請であるため「様式2-1」は「様式2」、「様式3-1」は「様式3」と表現します。
前回と今回の違いを明確に示すには
様式2の<応募者の概要>の下部、<経営計画>の上部に、これまでにおける採択状況を報告する書式があります。
この欄は全ての事業者が「補助事業者である」「補助事業者でない」のどちらかにチェックを入れることとなり、空欄はありえないことになります。同店は1か所空欄がありましたのでチェックを入れていただきました。
さらに、一番下の行には以下の記述があります。
(上記のいずれかで「補助事業者」に該当する方のみ)それぞれ該当する回の補助事業での販路開拓先、販路開拓方法、成果を記載した上で、今回の補助事業との違いを記載してください。
つまり、前回と同じ補助事業だと原則として採択しないので、前回と今回の違いを示してくださいという意図が伺えます。これに対して、文章でその違いを説明するととても分かりにくくなりケースが多いので、弊社では以下の表を用いることをお勧めしています。
これにより、前回の補助事業と今回のそれは明確に違うことが訴求できます。過去の採択者は、ここが非常に重要な点になります。
事実を述べる
同店が予め記載した<経営計画>の「1.事業概要」を拝見すると、(1)経営理念、(2)沿革、(3)立地、(4)売上高、(5)その他、と見出しを設けた上で、それぞれの内容が書かれていました。
同店は、近隣に大型ショッピングセンターが出店し、打撃を受けていましたので、「(2)沿革」で当該ショッピングセンターが出店したことを盛り込んでいただきました。また、「(3)立地」に盛り込んだ自店の場所を示した地図に大型ショッピングセンターの位置をマーキングしていただきました。
自店に大きな影響を与えている事象については、しっかり説明をすることで、読み手に状況を理解していただく必要がありますが、「こういう状況なのですごく大変だから採択お願いします」的なネガティブな雰囲気を感じさせてしまうと、前向きではない事業者という印象を与えてしまうので、淡々と事実のみを記載することがポイントです。
手抜きと捉えさせない
同店は「(4)売上高」の項目で「売上総額の大きい商品カテゴリー」「利益総額の大きい商品カテゴリー」の一覧表を盛り込んでいました。これは、以下に示した日本商工会議所、全国商工会連合会が公表している【記入例】を意識したもので、非常に良いと思いました。
同店は扱う品種が多岐にわたるため、単品レベルでは管理が雑多になるのでカテゴリー単位で管理しています。よって「商品」ではなく「商品カテゴリー」としていました。具体的には「ガム」ではなく「食品」、「枕」ではなく「寝具」といった形です。
気になったのは「売上総額の大きい商品カテゴリー」は商品カテゴリー名、金額が書かれているにも関わらず、「利益総額の大きい商品カテゴリー」は商品カテゴリー名は書かれているものの、金額が抜けていた点です。片方を書いたらもう片方もしっかり書いて「手抜きをして作った計画書」と捉えられないようにしないといけません。
今回は、過去に採択された事業者が再度応募する際のポイントを中心に述べました。次回のコラムでは、様式2<経営計画書>の「2.顧客ニーズと市場の動向」から見ていきます。
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