小規模事業者持続化補助金に採択!雑貨店の事例(中編)

小規模事業者持続化補助金

 小規模事業者持続化補助金に採択されるべく、雑貨店の経営者が書かれてきた計画書(様式2,3)をいかにブラッシュアップして採択に繋げたか。前回のコラム「小規模事業者持続化補助金に採択!雑貨店の事例(前編)」に引き続き、今回のコラムでは、下図の赤枠部分、様式2<経営計画>「2.顧客ニーズと市場の動向」「3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み」を見ていきます。

短いほど良い

 予め書かれてきた「2.顧客ニーズと市場の動向」を拝見すると、「(1)顧客ニーズ」「(2)市場の動向」と見出しがあり、切り分けて書かれているのは良いと思いました。ですが、「(2)市場の動向」に、●で埋め尽くされた地図がありました。

 この●は顧客の居住地を示しており、同店のポイントカードシステムから出力されたものを貼り付けたと思われますが、顧客数、つまり●が多すぎて、地図なのか何なのか分からない状態になっていました。

 基本的な考え方として、乾杯の挨拶と同様で、記述も短ければ短いほど良いわけです。読み手としては負荷が軽くなるからです。ただし、その内容が伝わらなければ意味がないからこそ、色々盛り込むこととなるわけで、伝わらないものは盛り込む必要はなく、この地図は削除していただきました。

競合の一覧表を

 また、同じく「(2)市場の動向」で「競合は数社あり…」と競合に関する記述がありました。この「数社」という記述が具体性を喪失させていますので、競合の一覧表を作成していただきました。

 さらに、競合の動向として「総合的に販売する競合は少ない」「価格は高い」などの記述がありましたが、この記述は、自店は「総合的に販売している」「価格が安い」ことを意味しており、それができる要因を検討していただきました。これは自店の強みですから、次に示す「3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み」に盛り込んでいただきました。

マーケティングの4P

 自店の強みは、五月雨式に思いつくまま列挙するのではなく、切り口を意識すると洗い出した強みにヌケモレが発生しにくくなります。同店の経営者が記載してきた「3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み」はマーケティングの4Pの切り口が用いられていました。

 これは、Product(製品)、Price(価格)、Place(流通チャネル)、Promotion(プロモーション)の観点を指します。

 Product(製品)は、小売業の場合、品ぞろえに着目します。Price(価格)は、文字通り価格に着目します。Place(流通チャネル)の「チャネル」は「経路」を意味し、どこから仕入れ、どこで売るのかという「場所」に着目します。Promotion(プロモーション)は文字通り販売促進に着目します。

 ここで、切り口を用いることは良いのですが、このマーケティングの4Pは、次に示す理由により、「3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み」に切り口として使うことをお勧めしておりません。

用いるべき切り口

 4Pは、マーケティングをヌケモレなく検討する際の切り口ですが、この欄は【自社の強み】と【自社の提供する商品・サービスの強み】を記載することとなっています。つまり、「自社のマーケティングの強み」を記載することが求められているわけではありません。

 よって、お勧めしているのは【自社の強み】については「人」「物」「金」「情報」から構成される「経営資源」の切り口です。そして【自社の提供する商品・サービスの強み】は、4Pのうち「Product(製品)」、同店の場合は品ぞろえの強みが当てはまります。

 このように、問われたことに対して、どの切り口を用いるのがベストなのかを検討する必要があります。

 今回は、不要なものは削除し、競合は具体的に示し、適切な切り口を意識することが重要であることを見てきました。次回は「4.経営方針・目標と今後のプラン」以降を見ていきます。

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