企業は長きに渡って事業を継続することが前提であるため、経営者には中長期的な視点が求められます。ところが、事業規模が小規模になればなるほど、経営者は目の前の仕事に忙殺され、中長期的視点を失っていきます。
小規模事業者持続化補助金に応募するためには、経営計画を作成する必要がありますが、その経営計画の中でも、本日取り上げる「4.経営方針・目標と今後のプラン」を検討することは、中長期的視点を醸成する絶好のチャンスです。
当補助金に採択され、店舗改装を実施した美容室の経営者がどのようにして採択されるレベルの計画書を作成したか。このプロセスをご紹介するシリーズの4回目は、下図赤枠部分、様式2<経営計画>「4.経営方針・目標と今後のプラン」を見ていきます。
内容の整理
同店経営者が当欄に予め書かれてきた内容を整理すると以下になりました。
【方針】
- 顧客の笑顔と感謝がいただけるサービスの提供を基本理念とする。
- 店舗のイメージアップによる新規顧客の獲得を推進していきたい。
- 日々の教育訓練により、従業員のスキルアップをするとともに、将来の独立を見据えた教育も重要である。
- 地域に密着した店舗運営を行い、多様な顧客ニーズに応えることのできる、息の長い企業を目指している。
【具体的な行動】
- 従業員の後術や接客面の工場を目的とする講習会の開催。
- 定期的な講習内容の見直しにより教育の質を向上させる。
- 今以上に顧客が入店しやすく、リラックスできる店内へとレイアウトを変更する。
- 商工会広告、新聞折込、フリーパーパーなどで知名度を向上させ、新規顧客を獲得する。
- 店舗改装により、イメージアップを図り、清潔で明るいイメージを強め、新規顧客を獲得する。
これらの内容をブラッシュアップしていくこととなりますが、まずは見出しから見直す必要がありそうです。
見出しの設定
前述の通り、同店経営者が当欄に予め書かれてきた見出しは【方針】【具体的な行動】でした。見出しを設けることは内容がまとまりやすくなりますので、読み手の理解度も高まるでしょう。ただし、正しい見出しを設定した場合に限ります。
当欄は経営方針、目標、今後のプランを記載する欄ですので、素直にそれに従った見出しを設けることが重要です。よって、当欄に設けるべき見出しは【経営方針】【目標】【今後のプラン】ということになります。
そして、事前に記載されてきた内容は、それらの見出しに紐づけることとなります。
数値目標と時間軸、具体性
目標に関しては、数値で表すことのできるものにすると達成度が把握でき、その後の打ち手が有効なものになりやすくなります。同店の場合は、数値目標がなかったので、それを設定していただきました。
また、今後のプランに関しては、実施事項は記載がありますが、時間軸がありませんので、いつ実施する予定なのかを記載していただくとともに、実施事項のさらなる具体化をお願いしました。
例えば、「従業員の技術や接客面の向上を目的とする講習会の開催」であれば、技術の向上を目的とする講習会として、どのような内容の講習会を行うのか、同じく接客面の向上を目的とする講習会として、どのような内容の講習会を行うのかを明確にして、実施事項として記載する、ということです。
このようにして「4.経営方針・目標と今後のプラン」をブラッシュアップしましたが、次回は<補助事業計画>を見ていきます。
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