そのカフェはご夫婦で切り盛りしていましたが、ご主人のスキルを活かして、木工製品をカフェで販売することにしました。そのためには木工製品を陳列する棚を設置する店舗改装の他に、木工製品を製作する機器類が必要でした。
そこで同店は、それらにかかる費用を小規模事業者持続化補助金で賄うために応募用の計画書を作成しましたが、弊社は当該補助金における採択可能性を高めるべく、その計画書のブラッシュアップをご支援しました。結果として無事採択されましたが、どのように計画書をブラッシュアップしたのか、複数回にわたってご紹介します。
最終回の今回は、様式2－1＜補助事業計画＞の「4．補助事業の効果」について見て行きます。
1．小規模事業者持続化補助金＜一般型＞応募の全体像
まずは、全体像を把握します。事業者が単独で小規模事業者持続化補助金に応募する際は、原則として以下の書類を作成し、締め切り日までに送付する必要があります。
- 様式１－１ 小規模事業者持続化補助金事業＜一般型＞に係る申請書
- 様式２－１ 経営計画書兼補助事業計画書①
- 様式３－１ 補助事業計画書②
- 様式４ 事業支援計画書
- 様式５ 補助金交付申請書
このうち、様式２－１と様式３－１が採択に大きな影響を及ぼします。
２．様式２－１ 経営計画書兼補助事業計画書①の全体像
今回は、様式２－１経営計画書兼補助事業計画書①を見て行きますが、その構成は以下となっています。
- ＜応募者の概要＞
- ＜経営計画＞
- ＜補助事業計画＞Ⅰ．補助事業の内容
３．＜経営計画＞の内容の全体像
今回は＜補助事業計画＞Ⅰ．補助事業の内容を見て行きますが、その構成は以下となっています。
- 補助事業で行う事業名
- 販路開拓等（生産性向上）の取組内容
- 業務効率化（生産性向上）の取組内容
- 補助事業の効果
今回のコラムでは、４．補助事業の効果を見ていきますが、ここまでをまとめると、今回のコラムでは下図の赤枠で囲んだ部分を見て行くことになります。
４．「補助事業の効果」の書き方
（1）見出しの適切性を検討する
同店が事前に書かれてきた内容を拝見すると、当欄には【当店の経営面に関する効果】【顧客面に関しする効果】【数値面に関する効果】という3つの見出しが設けられていました。結論から言うとこれらの見出しのうち【数値面に関する効果】は【地域社会面に関する効果】へ変更し、当店・顧客・地域社会の効果を踏まえる必要があります。
補助金の財源は税金ですが、同店が採択された場合、同店を利用しない方が納めた税金も補助金として交付されることになります。そうすると、なぜ同店を利用しない方の税金を同店に投入するべきなのか、理由が必要になります。よって、自店・顧客、そして地域社会への効果も盛り込む必要があります。
（2）因果を丁寧に繋ぐ
同店が【顧客面に関する効果】という見出しの下にいくつか書かれていた効果の中に以下の記載がありました。
近隣菓子店の商品や、地元作家の作品を当店で販売することにより、地域活性化につながる。
同店は、ご主人が手がける木工製品の他に、菓子や作品を販売することとしています。これに関する効果は「地域社会の効果」ですから【顧客面に関する効果】の見出しの下ではなく、新たに設ける【地域社会面に関する効果】の見出しの下に置くべきです。
さらに検討するべきは、商品・作品を販売することにより、何が発生して、地域活性化に繋がるのか、ということです。つまり、「商品・作品の販売」と「地域活性化」に直接的な因果関係は見出せないので、因果を丁寧に繋がなければならないということです。
例えば、「商品・作品の販売」により「近隣菓子店や地元作家の収入が増える」ため「地域活性化」に繋がる、といった形でまとめると説得力が向上します。
（3）「だから何？」を意識する
同じく【顧客面に関する効果】という見出しの下には以下の記載もありました。
古い物をリペアすることにより物を大切にすることを提案する。
古い木製家具を仕入れ、ご主人のスキルでリペアして販売するわけですが、この記述だけでは効果とは言えない印象です。古いものを大切にすることを提案することでどんな効果が見込めるのかを示す必要があります。よって、記載した効果と思われることに対して「だから何？」と問いかけて効果を見出し、それを記載します。
同店はこのようにして計画書のブラッシュアップを図り、無事採択されました。やろうとしていることは社会的意義のあることですが、それが読み手に伝わらなければ採択は遠のいてしまいます。事業内容だけでなく、それをいかに表現するかを検討する際に当コラムがお役に立てれば幸甚です。
5．小規模事業者持続化補助金の申請書類作成をサポートします
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