事業領域の設定
その男性は、長年居酒屋チェーンに勤務していましたが、早期退職制度を利用し、自分で居酒屋を立ち上げることにしました。しかし、開業費用が足りず、担保もないことから、資金調達のご相談に来られました。
事業は、「誰に」「何を」「どのように」提供するのか、という事業領域(ドメイン)を明確にして、事業展開の方針を定める必要があります。
「誰に」を決めることで、どのような顧客をターゲットとした店なのかが明確になり、八方美人になることを防ぎます。
「何を」を決めることで、自店が応えるべき顧客ニーズが明確になり、顧客が抱える特定の問題解決を行うことができます。
「どのように」を決めることで、自店のウリが明確になり、競合他店との差別化が可能となります。
この店舗は、事業領域(ドメイン)を以下のように定めました。
「誰に」:歯の衰えた高齢者
「何を」:新鮮なイカを通じた食の喜び
「どのように」:水槽からすくったイカを顧客の目の前でさばく
戦略的に提携する
事業領域(ドメイン)を明確にした上で、創業計画を策定しましたが、その際に、出店予定地の近隣にスナックやクラブが無いかを調べました。
というのも、当店で飲食していただいた顧客が、歌を歌いたくなったり、女性とおしゃべりしたくなったりなど、もう1軒行きたいと思い、どこか紹介できるスナックやクラブを当店に訊いてきた場合に、対応できるようにするためです。
長年、居酒屋を経営していると、お勧めできるスナックやクラブの情報は自然と入ってくるので、紹介できるようになってくるものです。ですが、創業直後は、自店から情報を取りに行かないと、紹介することはできません。
なぜ、そうなるまで待たずに創業直後から取り組んだのでしょうか。
当店で飲食を楽しんだ顧客が、「どこかいいスナックありませんか」と訊いてきた場合に、当店と提携するスナックを紹介します。この際に、紹介料をスナックから受け取ってはいけません。あくまでも恩は売っておくのです。
これを続けていると、顧客がスナックで飲食中に、何か食べたいと言った場合に、出前の注文が入る可能性が高まります。また、ママさんと顧客が同伴出勤する場合に、当店を使っていただける可能性も高まります。
その飲食店が、客数を増加させるためにスナックと提携した理由は、早期に客数を増加させ、成果を高めるスピードを加速させるためなのです。内部資源だけでなく、外部資源を活用する重要性がここにあります。
これらの取組みも盛り込んだ創業計画によって、同店は無担保で数百万円の開業費用を調達でき、創業当初から大きな売上を獲得できたことを付け加えておきます。
参考コラム
「誰に」「何を」「どのように」を決める
人気があり儲かる整体院となるために設定するべきドメインとは
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