私は、ガソリンスタンドの店長として経験が少なく知識も浅かった頃は、1年で70人ものアルバイトスタッフに辞められました。ですが、経験を積むとともに知識を深め、最終的には学生のアルバイトスタッフが学校卒業後に就職したがる店を作り上げました。つまり定着率の低い店も高い店も作ってきたということになります。
定着率の差をもたらした要因のひとつに、洗車やオイルといったガソリン以外の商品である油外商品の販売に関する取組みの差があります。これを踏まえ、今回のコラムでは、ガソリンスタンドで人材の定着率を上げる手法を見ていきたいと思います。
ガソリンスタンドで人材の定着率を上げる手法1:自主的な販売
人材が辞めていく理由は表向き上、様々なものがありますが、煎じ詰めていくと「油外商品を売りたくない」に行き着く印象があります。顧客へ油外商品をお勧めするために声を掛けるように強制され、それに従って声掛けしても売れないどころか、顧客に嫌な顔をされる。そして、店長には「もっと売れ」と発破を掛けられる。
これでは、その仕事を継続しようというモチベーションが上がるはずもありません。なぜ、油外商品の販売がそこまで顧客に毛嫌いされるかというと、店側の都合で販売しているからであり、それを顧客も敏感に感じ取っているからです。
よって、店長としては、闇雲に声掛けを強制し、発破を掛けるのではなく、なぜ油外商品の販売をすることが顧客の役に立つのかを考え、スタッフと共有したり、スタッフに考えさせたりすることにより、取組み方も結果も大きく違ってきます。
その上で、給油中に顧客が喜ぶサービスのひとつであるタイヤの空気圧点検を糸口に、顧客との関係性を築いていくことが、スタッフに無理を強いずに販売実績が上がるポイントとなります。
この関係性を築く際にぜひ活用したいのが、その顧客に対する接客履歴であり、これは次に示す手法で低コストでの共有が可能となります。
ガソリンスタンドで人材の定着率を上げる手法2:スタッフ間の情報共有
入店車両のナンバープレート情報と接客履歴を紐付けることにより、接客履歴の把握が可能となります。これを実現するために車両のナンバープレートを撮影するカメラや、その撮影データと接客履歴を紐付けするシステムが販売されており、カーディーラーなどが採用しているようですが、初期費用もランニングコストもかなり負担が大きいようです。
実は、このシステムはエクセルが使えるノートパソコンで代替できます。接客する度にその接客内容とナンバープレート情報をメモしておき、時間が空いたらノートパソコンのエクセルに入力し、フィルター機能で読み出せるようにしておけば接客前に、他のスタッフが以前どのような接客をし、顧客はどのような対応だったのかが分かるため、それを今回の接客に活かすことが可能です。詳しくは以下のコラムを参考にして下さい。
ガソリンスタンドで顧客管理をエクセルで行う方法
これにより、接客による油外商品の販売実績が上がりやすくなり、仕事の成果を出せるようになるとスタッフの定着率は向上しやすくなります。
ガソリンスタンドで人材の定着率を上げる手法3:顧客とのコミュニケーション
仕事の話ばかりの上司は部下に嫌がられるように、セールストークばかりのスタッフは顧客に嫌がられてしまいます。よって、マニュアルでセールストークを定めて、それを棒読みさせるような指導をしても、業績向上には大きく寄与しにくいばかりか、仕事に嫌気がさして、退職を促進させる可能性もあります。
そこで、スタッフは顧客との雑談が必要になってきますが、特に若いスタッフは、雑談の切り口を見つけ出すことが大変です。この切り口の見出し方として「木戸に立ちかけし衣食住」がありますので、以下のコラム参考にして下さい。
雑談をきっかけに関係性を構築して油外商品を販売するには
雑談のネタの出し方を把握したら、どういうタイミングでどのような声を掛けるべきか、ロールプレーイングをして、接客に活かすようにしましょう。このようにして顧客との関係性を築くことができれば、接客が楽しくなり、定着率が高まるでしょう。
今回のコラムでは、ガソリンスタンドで人材の定着率を上げる手法として、1.自主的な販売、2.スタッフ間の情報共有、3.顧客とのコミュニケーション、を挙げました。これらを参考にして、人材の定着率向上に取り組んでいただけたらと思います。
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